コミュ障の方と接するのは、意思疎通が上手くできずに困惑することも多いでしょう。しかしコミュ障の方は、そんなあなたの態度に築かないことも多い自分を自覚し、自分なりにとても気を遣っていることが多いのです。
「コミュ障」は「自分とは違う個性」?
コミュ障の方は、コミュニケーションが苦手であることを誰よりも自覚しています。
空気を読むこともできず、相手の反応にも無関心に見えたりしますが、悪気は無いのです。
ここで自分に置き換えてみて下さい。
知らないうちに場の空気を悪くしたり、他人を怒らせたり、仕事で失敗したり、友達だと思っていた人がいつの間にか友達でなくなっていたりするのです。
自分がもし理由がわからないままこのような事態に陥ったら、傷つき、他人とのコミュニケーションが怖くなるかもしれないと思いませんか?
つまり、見方を変えれば悪気がないだけに、気の毒とも言えるのです。
だからビジネスシーンでコミュ障の人と関わる場合は、コミュニケーションが上手くいかなかったり、気分を害すようなことがあったとしても、「悪気はない」と自分に言い聞かせましょう。
コミュ障の人と接すると、場合によっては、傷ついたり腹が立つこともあるかもしれません。
でも、ビジネスシーンでは逃げるわけにはいきませんので、ストレスをためるよりも視点を変えてみましょう。
コミュ障も「自分とは異なる個性だ」と割り切った方が、ビジネスシーンも円滑になります。
「コミュ障」とはどんな人?
コミュ障とは「コミュニケーション障害」の略です。
・人と目を合わせるのが苦痛
・人と話すよりもメールやSMSの方が楽
・上手く表現できない
・他人と協力するのが苦手で自分一人で何でもしてしまう
・どもる
・大勢の中にいると緊張してしまう
この程度は、対人関係が苦手で、少し重症な人見知りのようなものです。
コミュニケーションは、中高生までの間に親との会話や子供同士の遊びの過程で学習していくのです。
一概には言えませんが、家庭環境によっては、コミュニケーションを学習する機会が圧倒的に少なくなってしまうこともあります。
その結果、社会に出てから対人関係のトラブルによって人と接するのが怖くなったり、さらに重症な人見知りになることもあります。
但し10代後半で、社会に出てから自分でコミュニケーションを学習する機会を得ることもありますので、一概に決めつけることはできません。
さらに精神疾患や脳神経疾患の場合もあります。
・対人恐怖症
・吃音
・発達障害
・アスペルガー症候群・・・・・・etc.
吃音はどもりが激しいのですぐにわかると思いますが、他は自分中心に見えたり、自分のペースで物事を進めたりすることで、時に自己中心的に感じることもあるでしょう。
これらの症状は人によって様々で、医師の指導も必要なので、ここでは詳しくふれないでおきます。
先天性でも後天性の疾患でも、単なる重度の人見知りでも、同じように失敗を恐れて他人と関わるのを好まなくなる傾向があります。
だから、独りでできる事務作業や、自分が得意な分野では上手くいくのですが、共同作業や会話のキャッチボールが苦手です。
「ケースバイケース」という建設的な判断も苦手でしょう。
だから、自分を理解してくれる人との仕事は上手くいきますが、「自分を理解してくれない」と思い込んでしまったら、過去の経験則から傷つくのを恐れて殻にこもってしまうケースも多いでしょう。
コミュ障の方との上手な付き合い方
冒頭で述べたように、例えトラブルを招くような問題行動に見えたとしても、コミュ障の方の言動の場合、悪気がないケースが多いのです。
悪気がないのですから怒っても仕方がありません。
怒って文句を言うよりも、自分が困ったり傷ついた事実と理由を優しくわかりやすい率直な言葉で伝えましょう。
角を立てないように暗ににおわすのでは伝わりません。
あくまで”I(アイ)”を主語にして言えば、相手を責めることにはなりません。
筆者は「一人称主張」と勝手に命名しています。
「(あなたは)どうして○○してくれないのですか?」
「(あなたは)○○すると約束したでしょう」
ではなく、
「私は○○だと認識していたので、××だと困ります」
「私は○○してくれると伺ったと思います。○○していただけると助かります」
が一人称主張です。
コミュ障の方の場合は、すぐに改めてくれるケースが多いでしょう。
交渉の論点がずれていたり誤解を招いたときも、メールや電話ではなく、可能な限り会って話し、誤解がないかどうかを確かめ合いながら話を進めるのがおすすめです。
そうはいっても、同じ会社の人間ではない場合は難しいでしょう。
その場合は、時間をかけて相手の言い分を汲み取る努力をしましょう。
コミュ障の方は、自分はどんな場面で失敗しやすいかを今までの経験で理解しているケースが多いのです。
だから時間が許すなら、コミュ障の方のやり方に合わせるのが一番効率的でしょう。
どんなにイライラしても、できるだけコミュ障の方のペースに合わせて上げるのが得策なのです。
でも、ビジネスですから、納期やスケジュールもあります。
そのような場合は、それを先にコミュ障の方に伝えて、できるかどうかを確認し、可能な限り相手のペースにつきあってあげるように努力しつつも、コミュ障の方へも努力を促しましょう。
コミュ障の方は、相手が攻撃的な場合はパニックになってしまいますので逆効果なのです。
丁寧に説明すれば、可能な限り周囲に迷惑がかからないように努力しようとする傾向にあります。
コミュ障を克服できる環境を与えてあげよう
急がば回れです。こちらのペースで無理矢理行こうとしても相手はついて来れません。
できない(感じない・気付かない)ことを無理矢理させようとしても、彼らは既に自分ができる精一杯の方法で一生懸命やっています。
だから、責め立てて相手をパニックに陥らせてしまうのは逆効果です。
コミュ障の方は、一般的に「普通は○○よね」と言う言葉に敏感です。
普通で無い自分を責めているケースが多いと聞きます。
でも、彼ら自身改善方法がわからないので苦悩しているのです。
そのため、相手に理解を得られないことを諦めてしまうのも早いかもしれません。
ビジネスシーンで、諦めて殻に閉じこもられては話にもなりません。
コミュ障の方と付き合うには、コミュ障の方を追い詰めないように、自分の「普通」を捨て、コミュ障の方の「普通」を理解しする優しさが必要です。
それに「コミュ障の方の普通」から見ると周囲の普通の方がおかしな事なのです。
どっちの普通が正しいなんて誰にも判断できません。
でも、ビジネスシーンは多数派が「普通」になりがちです。
コミュ種の方には、行動パターンがありますので、少し距離を置いて観察して理解しましょう。
そしてコミュ障の方のやり方を理解した上で、こちらの事情とやって欲しい手順を率直なわかりやすい言葉にしてお願いしてみましょう。
コミュ障の方は、周囲の「普通」に合わせる方法を、藁をも掴む思いで探し求めていることも多いので、その答えを教えられたのですから、自ら進んで実行しようとすることでしょう。
また、自分が楽しいことがコミュ障の方に楽しいとは限りません。
例えば、「いつも独りでいるからみんなの輪に加えてあげよう」としても、独りの方が気安い場合も多いのです。
だから、良かれと思っても相手が少しでも顔を曇らせたら相手の気持ちを尊重してあげましょう。
コミュ障の方に与えるストレスは、相手の視野も思考力も狭めてしまい、さらに萎縮させてしまったりすることもあります。どちらにしてもビジネスシーンにはマイナスです。
人はリラックスしてこそ実力を発揮できます。
コミュ障の方とチームを組んで仕事をする場合は、コミュ障の方がリラックスできる環境を作って上げる辛抱強い優しさが必要かもしれません。
上司がコミュ障の場合の接し方
でも、コミュ障の方が目上の方だったり、上司だったり、こちらの要望を言い辛い相手の場合は、アドバイスをするのが失礼に感じてなかなか言いにくいこともあるでしょう。
そんな場合は、相手の目を見て、「私は○○したいのですがいかがでしょう?」といった感じで、あくまで“I”を主語にしてお伺いを立ててみましょう。
例えば、上司の指示が自分の意図したものとズレていたときは、辛抱強く質問の形で問いかけてみましょう。上司は自分の理解の方法で指示してくるでしょう。
その場合は諦めて、できるだけその方法でできるようにスケジュールを組んでいきましょう。
上司のペースを学習するのもあなたの手腕です。
上司があなたを信頼すれば、あなたに交渉を一任する場合もあります。
その場合は、上司を裏切らないように、例えあなたには面倒だとしても、上司が好むわかりやすい方法で報告を密に行いましょう。
上司ですから、「難しい」は「できない」ということ。「○○だと思う」は推定ではなく、「○○だ」という断定です。
上司の場合は、自分がコミュ障だと理解していてもプライドがあります。
そのプライドを守ってあげる優しさを持ちましょう。
相手がコミュ障の方だったとしても、あなたが困ったときは、困ったという事を素直に話してみましょう。
信頼関係が築けていれば、最大限に協力してくれるはずです。
スムーズなコミュニケーションは、相手を思いやる「優しさ」のキャッチボールなのです。