人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾 裕社長)がまとめた「転職市場予測2022下半期」によると、2022年下半期(7月~12月)の転職市場は、新型コロナで加速したIT化・DX推進を中心に採用が活発化し、“追い風”が続くとみられている。
2022年下半期の転職市場全体における求人は、全14分野のうち13分野で「増加」、1分野で「変わらない」と想定しており、市場全体で活発化する見込みとなっている。
求人数が増えると見込まれているのは、「IT・通信(ITエンジニア)」、「 電気・機械」、「建築・土木」、「金融」、「メディカル(医療業界)」、「営業」、「人事」、「経理」、「法務」、「企画・マーケティング」、「販売・サービス」、「クリエイティブ」、「化学・素材」の13分野。
求人数が変わらないと見込まれているのは、「事務・アシスタント」となっている。
パーソルキャリアでは、「背景には各業界で進んでいるIT化・DX推進があると考えられる。新型コロナウイルスの影響を受け、ビジネスの非対面化・オンライン化が進み、企業は新しいビジネスで収益を出すことが求められるようになり、IT化・DX推進を担える人材の需要が高まっている」と指摘する。
さらに「建築・土木業界の労基法の猶予期間終了(2024年4月から時間外労働の上限規制適用開始)、製造業の団塊ジュニアの引退、さらにはメディカル(医療業界)の品質管理の強化などを受け、これらの業種でも採用が活発化する」と見ている。
【職種別予測】
IT・通信(ITエンジニア)…DX推進や、スタートアップ支援、デジタル支援などを背景に、需要は今後も高まり続ける見込み
電気・機械(製造エンジニア)…今後10年ほどで訪れる団塊ジュニア世代の引退を見据え、経験、未経験者ともに採用ニーズは高まる
建築・土木…2024年4月からの「労基法改正の猶予期間終了」を背景に、人員充足に向けた動きが強まる。また、建設現場でのIT導入・DX推進を担える人材の募集が増加する見込み。
金融…社内SEやシステム企画、データ分析・データサイエンティストなどの採用ニーズが業界全体で高まっており、さらには事務企画、DX推進といった求人も増加傾向にある。
メディカル…品質・規制関連を中心に求人が増加する見込み。また、臨床開発関連の人材ニーズが高まる傾向にある。
営業…業種別ではIT、Web、コンサル、職種別ではインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスを中心に、採用が活発化する見込み。
人事…新型コロナを機に採用を停止した企業や早期退職者を募った企業が人員不足を補うために採用を行っており、採用を担当するポジションのニーズが高まっている。
経理…繁忙期を終えた下半期に、転職を検討する人が増加する傾向にある。
法務…「事業を推進する(攻め)」と「リスクを管理する(守り)」の両面の観点が不可欠となり、法務職のニーズはますます高まる。
企画・マーケティング…経済活動再開により企業はマーケティング活動を加速し、求人は経験者を中心に増加する見込み。
販売・サービス…新型コロナの影響は未だ残り、大きな採用計画の見通しは立っていないものの、「EC×倉庫・物流」と「フードデリバリー・テイクアウトサービス」に関わる求人は増加傾向。
事務・アシスタント…欠員補充での採用が中心になるため、求人数は横ばいの見込み。
クリエイティブ(Web系)…IT、Web関連業界だけではなく、金融・小売り業界などで需要が見込まれ、求人数は増加する。
化学・素材…カーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車に関連するポジションや「半導体」の事業強化を目的とした人材の採用ニーズが高まる。