CDPは英語の「Career Development Program」を略した人事関連用語です。「career」は経歴や生涯の仕事を表わし「development」は発達や成長を意味しており、一般的に「キャリア開発計画」と訳されることが多く、考え方は1950年代後半にアメリカで提唱されたといわれます。企業が従業員の職務能力向上を図る中・長期的な計画のことをCDPと呼び、企業主体に準備したものではなく従業員が自主的に取り組めるところが特徴です。
キャリアアップのために転職を考える時代となり、企業としては社内における従業員エンゲージメント(愛着心をもち互いに貢献し合う関係)を向上させて離職を防がねばなりません。CDPを導入して社内でのキャリア形成を図ることは能力開発や人材確保につながり、離職対策にも有効です。CDPは企業が一方的に進めるのではなく、従業員の希望を聞いて準備を進めなければなりません。お互いの意見を反映させたキャリア開発プランをもとに研修制度や人事配置などを検討して具体化しながら、継続的に進捗状況をチェックします。
CDPの一例となる「カフェテリア型研修」は、従業員がカフェテリアで料理や飲み物を選ぶようにさまざまな研修プログラムから業務に役立つスキルを選択できる制度です。また従業員自身が関わったプロジェクトなどの業績を評価する「自己申告制度」や、従業員が自ら希望する部署に経歴や能力をアピールすることで異動を実現できる「社内FA(フリーエージェント)制度」などもあります。ただ新卒採用中心の時代から中途採用も活発になってきた現状において、社内で長期的にキャリア開発を図るCDPは従業員をつなぎとめる難しさもあり、雇用状況を見ながら時代に合わせて対策を講じる必要があります。
なお「CDP」は企業が顧客情報などを集めて分析するためのカスタマー・データ・プラットフォーム(Customer Data Platform)を略したデジタルマーケティング用語でもあります。またイギリスで設立された気候変動に関する環境非営利団体(NGO)の1つカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)の略語としても知られるため混同しないように注意が必要です。