カーブアウト

カーブアウトとは「切り出す」「分割する」を意味する英単語「carve out」に由来したビジネス用語で、企業が戦略的に事業の一部門を切り離して新しくベンチャー企業を創設する経営手法を指します。また企業が子会社や事業の一部を切り出して外部に売却する取引を「カーブアウトM&A」と呼びます。

企業内のある事業がマーケティング的な評価が低い場合に、当該事業を切り離して社外に新会社を立ち上げる手法がカーブアウトです。カーブアウトによって親会社から切り離された新会社は、資本関係が続いているため必要な人材や技術を移動して新事業の価値を高めることが可能です。また投資ファンドや個人投資家などによる支援によって経営資金を調達しやすくなるのも大きな特徴です。そうしたメリットから特定の事業のみを譲渡する際の手法としてカーブアウトを用いる場合もあります。

カーブアウトと同系の用語に「スピンアウト」および「スピンオフ」があります。スピンアウトは資本関係を継続しないで、親会社から独立させる経営手法のことをいいます。技術やアイデアを持った社員が親会社を退職して起業する場合や不採算事業のみを売却したいときにスピンアウトが実施されますが、最近は有能な人材が大手企業からスピンアウトするケースが増えているようです。

一方のスピンオフは親会社から事業を切り離す際に、親会社から出資を受けて独立したうえ資本関係も継続させる経営手法のことを指します。独立後もブランド・商標・ライセンスなど知的財産を共有して事業展開できることが大きなメリットといえるでしょう。ただし親会社による資本援助があるため外部からの融資は受けられません。

またカーブアウトを活用して企業の合併買収を意味するM&A(エムアンドエー)を行うことを「カーブアウトM&A」と呼びます。カーブアウトM&Aは「新規事業の立ち上げを繰り返すうちに多角化し過ぎたため、一部の事業を切り離したい」、「相乗効果を期待して、他社から事業を譲り受け自社の事業を拡大したい」といったときに力を発揮し、経営者にとって重要な課題である事業ポートフォリオの最適化に有効な手段とされます。ただし譲渡の対象となる対象事業と売り手に残る対象外事業を特定する必要があり、難易度は高いといわれます。

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