正常性バイアス

正常性バイアスとは、「認知バイアス」のひとつです。自信にとってマイナスの影響を与える事柄を過小評価したり、無視したりすることを正常性バイアスといいます。とくにイレギュラーな事態に遭遇した際に、「あり得ないこと」だという先入観を働かせて、回避行動を取らない人間のメカニズムに対して使われることが多いです。正常性バイアスと同じ意味で「正常化の偏見」や、「恒常性バイアス」といった表現がされることもあります。

正常性バイアスは本来、心理的ストレスから心を守り、平穏を保つための防御反応を指す言葉です。ストレスに過度に反応しすぎることは、心に疲労を与えます。そのため正常性バイアスによって、ある程度の事象までは「正常」と判断することで、ストレスに対処しているのです。

しかし、「正常」と捉える範囲が広がりすぎることで、本来なら対処しなければならない事態に対しても回避行動を取らない場合があります。災害が起きたときに避難せず自宅に留まったり、感染症が流行していても外出したりする行動は、正常性バイアスの代表例といえます。

このような正常性バイアスは、人数が多ければ多いほどかかりやすいといわれており、周囲の人間の行動に影響されやすいことが知られています。

ビジネスシーンにおいて正常性バイアスは、危機管理の観点から常に気を配らなければならない存在です。たとえば不祥事やコンプライアンス違反の疑いが発生した際に、管理職層が「自社に限って不祥事が起きるはずがない」と考えることは、正常性バイアスによる判断ミスといえます。また、競合他社がシェアを拡大しているにも関わらず、「自社商品は顧客に選んでもらい続けられる」と楽観視することも、正常性バイアスが招く経営判断ミスといえます。

正常性バイアスによる判断ミスを防ぐために、不測事態や好ましくない情報に触れた際は、自分の判断が正常性バイアスによって歪められていないか客観視するようにしましょう。また、特定の状況下におけるマニュアル(行動指針)を作成したり、イレギュラーな事象が発生した際は回避行動を必ずひとつ考えたりするなど、正常性バイアスを排除する仕組みを作ることも有効です。

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