2月の「人手不足」倒産は21件で、前年同期の2.6倍増になっていることが、東京商工リサーチの「2023年(1-2月)『人手不足』関連倒産の状況」でわかった。
今年1-2月の「人手不足」関連倒産は合計21件(前年同期比162.5%増)で、前年同期の2.6倍に急増している。同期間としては3年ぶりに前年を上回った。
要因別でみると、最多は「求人難」の10件(前年同期比100.0%増)で、2年連続で前年同期を上回った。「人手不足」関連倒産の47.6%と、ほぼ半数を占めている。次いで、「従業員退職」が6件(同100.0%増)で、3年ぶりに前年同期を上回った。
また、「人件費高騰」も5件(前年同期ゼロ)発生し、3年ぶりに前年同期を上回った。
産業別でみると、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、金融・保険業、不動産業を除く7産業で前年同期を上回った。
最多は、サービス業他の8件(前年同期比60.0%増)で、全体の38.0%と約4割を占め、2年連続で前年同期を上回った。また、建設業が3件(同50.0%増)で2年連続、情報通信業が2件(同100.0%増)で2年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。
製造業が1件で2年ぶり、卸売業1件と運輸業5件が3年ぶり、小売業が1件で5年ぶりに、それぞれ発生した。農・林・漁・鉱業と不動産業が3年連続、金融・保険業は調査を開始した2013年以降、発生がない。
【産業別「人手不足」関連倒産】
サービス業他 8件(前年同期比60.0%増)
運輸業 5件(前年同期ゼロ)
建設業 3件(同50.0%増)
情報通信業 2件(同100.0%増)
製造業 1件(前年同期ゼロ)
卸売業 1件(前年同期ゼロ)
小売業 1件(前年同期ゼロ)
形態別でみると、「破産」が20件(前年同期比150.0%増)で、3年ぶりに前年同期を上回った。構成比は95.2%と大半を占めた。再建型の「民事再生法」は3年連続、「会社更生法」は調査を開始した2013年以降、それぞれ発生がなかった。
地区別でみると、9地区のうち、6地区で前年同期を上回った。減少は四国の1地区、同件数は北陸と中国の2地区だった。
【産業別「人手不足」関連倒産】
北海道 2件(前年同期比100.0%増)
東北 1件(前年同期ゼロ)
関東 10件(同100.0%増)
中部 1件(前年同期ゼロ)
北陸 0件(前年同期ゼロ)
近畿 4件(同300.0%増)
中国 0件(前年同期ゼロ)
四国 0件(同100.0%減)
九州 3件(前年同期ゼロ)
調査は、2023年1-2月の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(後継者難は対象から除く)
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