個々の労働者と事業主との間の総合労働相談件数は121万400件となり、民事上の個別労働紛争の相談数、助言・指導の申出、あっせんの申請のすべての項目で、「労働条件の引き下げ」の件数が前年度から増加したことが、厚生労働省の「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」で分かった。(文:日本人材ニュース編集部)
令和5年度の労働者と事業者との間の労働条件や職場環境に関する総合労働相談件数は121万400件(前年度比3.0%減)で、4年連続で120万件を超え、高止まりとなっている。
総合労働相談の内訳は、「法制度の問い合わせ」が83万4816件、「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」が19万2972件、「民事上の個別労働紛争相談件数」が26万6160件となった。
民事上の個別労働紛争の相談件数を相談内容別にみると、「いじめ・嫌がらせ」(6万113件)が12年連続でトップ。次いで、「自己都合退職」(4万2472件)、「解雇」(3万2943件)、「労働条件の引き下げ」(3万234件)が多かった。
前年度と比較すると、「労働条件の引き下げ」は6.9%増、「退職勧告」は4.4%増、「解雇」は3.4%増だった。
個別労働紛争の相談者は、労働者が84.6%と大半を占め、事業主からの相談は9.3%となった。
相談対象となる労働者の就労形態は、「正社員」(39.3%)、「短時間労働者」(14.0%)、「有期雇用労働者」(11.7%)、「派遣労働者」(5.4%)となっている。
労働局長による助言・指導の申出件数は8346件(前年度比4.5%増)で、相談内容別にみると「労働条件の引き下げ」が1020件と前年度比26.7%増加し最多となった。
次いで、「いじめ・嫌がらせ」(955件)、「自己都合退職」(832件)、「解雇」(752件)が多かった。
紛争調整委員会によるあっせんの申請件数は3687件(前年度比5.6%増)で、相談内容別にみると「いじめ・嫌がらせ」(800件)が10年連続でトップ。次いで、「解雇」(793件)、「労働条件の引き下げ」(380件)、「雇い止め」(360件)が多かった。
前年度と比較すると、「労働条件の引き下げ」は20.6%増加した。
※令和4年4月の改正労働施策総合推進法の全面施行に伴い、(これまで「いじめ・嫌がらせ」に含まれていた)同法上のパワーハラスメントに関する紛争は全て(同法に基づく紛争解決援助の対象となり)別途集計することとなったため、令和3年度以前と令和4年度以降では集計対象に差異がある。