副業を経験した大手企業社員の6割が、本業にもポジティブな変化

企業の副業制度導入を支援している、みらいワークスの調査によると、副業を経験した大手企業社員の6割が、本業にもポジティブな変化を感じていることが分かった。副業をしていない社員の理由は「会社の規定で副業が認められていない」が最多だった。

日本人材ニュース

従業員1000人以上の企業を対象に実施した「副業経験の実態調査」によると、副業の経験がある社員は12.0%で、年代別にみると、20代(0%)、30代(24.7%)、40代(17.8%)、50代(8.8%)、60代(7.9%)となっている。

副業での経験や気づきがもたらした本業での業務の進め方への変化については、「業務の効率化や改善を積極的に提案するようになった」(26.7%)、「タスクの優先順位付けが明確になった」(26.7%)、「必要な情報を効率的に収集できるようになった」(20.0%)など、ポジティブな変化を選んだ社員が6割を超えた。

副業での経験や気づきがもたらした本業での業務の進め方への変化(複数回答)

業務の効率化や改善を積極的に提案するようになった26.7%
タスクの優先順位付けが明確になった26.7%
必要な情報を効率的に収集できるようになった20.0%
部下や同僚への仕事の依頼・指示が明確になった19.2%
会議や打ち合わせの時間を短縮するようになった19.2%
プロジェクト全体を見通して進められるようになった18.3%
決裁や判断のスピードが上がった16.7%
社内外との調整をスムーズに行えるようになった9.2%
その他0.8%
特に変化はない38.3%

また、副業を始めた当初の目的と比べて予想していなかった良い効果として、「思いがけない人脈が広がった」(27.5%)、「新しい事業アイデアが生まれた」(20.0%)、「本業での評価が向上した」(20.0%)などが挙がっている。

大手メーカーの三井化学は、新しい働き方を実現する一つの施策として副業制度を導入しており、副業を行っている社員からは、「改めて自分の専門性を高める良い機会になった」「副業が認められていたのでキャリア入社してきた」などの声が寄せられている。

三井化学の長尾憲二人事部企画グループリーダーは「これだけ時代の変化が激しく、次々と新しいことにチャレンジしていかなければいけない局面だと、会社で取り組んでいる業務で得られる経験だけが意味を持つのかといえば、必ずしもそうではないと思います。もっと色々な経験を重ねることに価値がありますし、そのような経験を積んだ人たちが多い組織の方が強い組織になると思います」と話している。

調査を実施した、みらいワークス事業開発チームの岩田央子氏は「キャリア自律やキャリアオーナーシップを持つ社員を増やしたい企業では、副業や越境学習の仕組みを用意して実践の場を希望する社員の声に応えようとしています。例えば、NTT東日本様は、副業を社員の成長やキャリア自律につながるものとして位置づけ、副業案件へ平易に応募できるプラットフォームを設けることで、社員の副業を後押しされています」と説明する。

2018年に政府が公表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、会社員の副業・兼業は原則自由なこと、企業側は社員が「企業秘密の保持」などの要件を満たしていれば禁止や制限はできないことなどを定めているが、今回の調査によると、副業をしていない人の理由は「会社の規定で副業が認められていない」(35.0%)が最多だった。

副業をしていない人のうち、副業に興味がある人は28.1%。そのうち、49.8%の人が「会社が認めれば副業を始めたい」と回答している。

「副業経験の実態調査」の詳細はこちら
https://mirai-works.co.jp/news/news12947/

【関連記事】

▼人事専門誌「日本人材ニュース」はこちらでお読みいただけます

PAGE TOP