【著者が語る】静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか

高橋 克徳 ジェイフィール 代表取締役 武蔵野大学経営学部 特任教授

ジェイフィール
高橋 克徳 代表取締役 武蔵野大学経営学部 特任教授

【PROFILE】1966年生まれ。一橋大学大学院修士、慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。野村総合研究所、ワトソンワイアットにて、組織開発、人材開発に関するコンサルティングに一貫して従事。2007年ジェイフィール設立に参画。組織感情、つながり力、コネクティング・リーダーなど、日本企業再生に向けた新たなコンセプトを次々に提示し、「感情とつながりを再生し、良い感情の連鎖を起こす」ための組織づくり、人づくり支援している。2010年より現職。2013年より東京理科大学大学院イノベーション研究科教授、2018年より武蔵野大学経営学部特任教授を兼務。2008年に出版した『不機嫌な職場』(共著、講談社)は28万部のベストセラーとなり、職場に焦点を当てた組織変革への動きをつくり出した。その他、『職場は感情で変わる』(講談社)、『人が「つながる」マネジメント』(中経出版)、『ワクワクする職場をつくる。』(共著、実業之日本社)、『静かに分断する職場』(ディスカヴァー携書)など著書多数。

本音が見えない部下、次々と辞めていく優秀な若手、協力しようとしない線引き社員、そんな社員とどう向き合ってよいかわからない管理職や経営層…。違和感を覚えながらコロナ禍になり、働く価値観や会社との関わり方も多様になる。

ますます互いの本音が見えない、余計なことは言えない、向き合えない、対話を避ける。あなたの職場も「静かに分断する職場」になっていませんか。この現象を客観的に捉え、自分たちのあり方をみんなで問い直すきっかけにしていただきたくて、この本を書きました。

バブル崩壊以降の経営改革は、人と組織との間にあった負のつながりを断つことに主眼が置かれました。でもそこで新しいつながりをつくることはしなかった。

人と組織のより良い関係を築こうとする姿勢も取り組みも行われないまま、目の前の仕事をこなし、成果や報酬を得ることがすべてのような関係を築いてしまった。仕事や職場、会社から心が離れていく人が増えていくのは必然だったのかもしれません。

でも私たちはこれから、人口減少や気候変動など自分だけではどうにもならないことに直面する。このとき人と組織は自己利益のために互いを利用する関係になるのか、人と組織が協力して未来を切り拓く関係になるのか。その分岐点にいます。

本書ではこうした状況をデータで客観的に捉え、その背後にある心理を一緒に探っていきます。その上で、分断を越えていくカギは何か、そのための七つの対話、三つの革新を提示しています。

特に強調しているのは、本音で向き合い、本質を問い直す対話を行うこと、分断を越えて一緒に探究する重ね合いのマネジメントへの転換を図ることです。

ただ、この本で最もお伝えしたかったのは、この場所は大切な場所だから、その場所を一緒に守りたい、より良くしたいというコミュニティシップが、人、組織、社会に溢れ出すこと。

それが日本の、世界の未来をつくるという思いです。ぜひこの本をもとに、ともに働く意味、職場や会社のあり方をみんなで問い直してみていただけたらと思います。

静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか

高橋克徳 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1,300円+税

【関連記事】

▼人事専門誌「日本人材ニュース」はこちらでお読みいただけます

PAGE TOP