【新卒採用】「安定性」「福利厚生」だけをアピールする採用戦略は優秀層に響きにくい

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ハウテレビジョン
戸川 博司 執行役員兼外資就活総合研究所所長

【PROFILE】2002年新卒でリクルート入社。17年にわたり、企業の新卒採用・中途採用支援をはじめ、営業組織・事業部人事・調査部門のマネジメントなどを歴任。人材紹介会社でのコンサルタント・採用コンサルティングなどを経験後、2023年にハウテレビジョン入社。現在は、執行役員兼外資就活総合研究所所長として、新卒採用のキャリアプラットフォーム事業・人材紹介事業・調査部門を管掌。

近年、新卒採用市場における優秀な学生の獲得競争は激化の一途を辿っています。その中で、特に顕著なのがコンサルティング業界への関心の集中です。外資就活総合研究所の調査(2026年卒対象)では、内定取得者のうち約3人に1人(33.2%)がコンサル・シンクタンク業界への入社を予定しており、その人気の高さを裏付けています。採用戦略を練る上で、この層の学生が持つ特有の価値観を深く理解することが不可欠です。

コンサル志望学生の企業選びの動機を分析すると、「成長機会」と「給与・福利厚生」への強いこだわりが浮き彫りになってきます。彼らが重視するのは、若手のうちから多様かつ難易度の高い課題解決に携わり、自身の能力を極限まで高められる環境です。これは、自身のスキルアップや多様な経験を通じてキャリアを主体的に形成したいという明確な意志の表れと言えます。

特に注目すべきは、報酬に対する具体的な意識です。コンサル志望学生の希望する初年収のボリュームゾーンは「600万円」であり、他業界志望者の「500万円」を上回っています。彼らにとって給与は単なる生活の糧ではなく、「能力や成長度を測るわかりやすい指標」であり、自身の市場価値が正当に評価されることへの強い期待があるのです。

対照的に、彼らが相対的に重視しない傾向にあるのが「企業の安定性・成長性」です。伝統的な終身雇用や一つの組織への長期的な帰属意識よりも、個人としていかに成長し、市場価値を高めるかを優先する、現代の優秀層が持つ「安定」の概念の変化を示唆しています。企業そのものの安定性よりも、「その環境で自分がどう成長できるか」「どのようなスキルや経験が得られるか」が最優先されているのです。

また、採用活動の現場では、学生が語る「成長」が具体的に何を指すのか、どのような状態を「安定」と捉えているのかを丁寧にヒアリングすることが求められます。きめ細やかな対話を通じて、学生一人ひとりの価値観を深く理解し、自社の文化や求める人物像に真にマッチする人材を見極め、惹きつける戦略を構築することが、今後の新卒採用の成功を左右する鍵となるでしょう。

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