キューアンドエーワークス(現ワークスアイディ)
池邉 竜一 代表取締役社長
世間では「働き方改革」の議論が活況を呈し、働き方は大きく変化し始めています。企業はムリ、ムダ、ムラの排除のもと、業務の「効率化」「生産性向上」を追求中ですが、オフィスワークの「情報つくり」における一連の設計図を作る、つまり「業務の可視化」を優先することこそ、生産性向上の近道と言えます。
その一方、どこまで追求しても、常時、人間には時間的制約が影のように付きまとって逃れることはできません。これからの企業には、競争社会を生き抜くため、 オフィスワークにおいて、これまで人間のみが対応可能と想定されたパソコン作業を代行し、24時間365日休むことなく、飽きることもミスをすることもない、高い「質」で時間的制約を超越するような労働者(仮想知的労働者=デジタルレイバー)の存在が必要不可欠となっています。
デジタルレイバーの労働力は、指示された徹底的かつ圧倒的な数量の業務タスクをやり抜くことが特徴のため、まるで人間の仕事を全て奪っていく存在のようにも思えてきます。しかし、その登場によって、我々の働き方に大きな「パラダイムシフト」、つまりこれまで人間が考えてきたムリ・ムダ・ムラの発想や着眼ポイント、物事の優先順位付けを再定義する機会を提供してくれるのです。
ロボットや機械化は、人間から不得意とする仕事を引き受け、人間には働きがいのある仕事、人間にしかできない仕事に集中してもらうことを手助けする「部下のような存在」になり得るということに“本質”があります。
しかし、このままロボットや機械化の取り組み“だけ”が進んでいけば、時間の束縛に対して報酬を得る仕組みから脱することができず、私たち人間はロボットの部下に成り下がってしまうことでしょ 私はRPAのデジタルレイバーを通じて、人とロボットとの働き方をわかりやすく伝えるため、このたびペンを執りました。
本書は日本の働き方の現状に対して警鐘を鳴らし、私たちが人間らしい働き方と生活を取り戻すヒントを盛り込んだ指南書にもなります。
池邉竜一 著
日経BP 社、1,600円+税
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