メンタルプラス
和田 隆 代表取締役
連日、テレビやニュースを賑わせている、スポーツ界のパワハラ騒動を眺めていると、「どうして、こうなるまで放っておいたのだろう」と疑問に思えてしまいますが、そこに至るまでにはそれなりの背景があったということを考えなければいけません。
今やパワハラは企業の労使紛争のトップとなっており、既に企業でも一般化しつつあります。いうまでもなく、いったんパワハラが表に出てしまえば、当事者にとっても、組織にとっても、そのダメージは計り知れません。では、企業でパワハラが起きた場合には、どう対処したらいいのか。企業現場では、対策に取り組み始めた段階というのが、正直なところではないでしょうか。
私は、多くの企業でパワハラについての講演や、具体的な問題解決のお手伝いをしていますが、早期に問題を把握し早期に対策を立てていくことが大切だと痛感しています。
パワハラは、禁止してもなくなりません。言葉遣いに気をつけても、防止できません。なぜなら、パワハラは上司と部下の関係性の問題、コミュニケーションの問題、マネジメントの問題、業務負荷の問題、さらには、組織の運営方針・慣習の問題が、複合して起こるからです。
解決するには、組織に内在する本質的な問題を把握し、改善することが必要です。まずは、パワハラがどんな具体的な問題から起きたのかを検討し、当事者の抱えている問題、上司と部下の関係、コミュニケーションの問題、マネジメントの問題を点検します。
点検のプロセスでは、しばしば企業内の非効率な運営方針や、職場の不合理な慣習も浮かび上がります。つまり、パワハラ問題には、企業の非効率を効率化していくヒントが隠されています。
いかにしてよい人材を確保し育てるかという、企業にとって最も切実な課題に応え、パワハラ問題をポジティブな「健康経営」「経営の効率化」へと転換させるヒントを本書より得ていただけますなら、著者としてこれ以上の喜びはありません。
和田隆 著
方丈社、1,500円+税
【関連記事】
- 変革人材の争奪戦が過熱 失敗しない採用戦略とは【人材獲得策の最新事情】
- 企業価値を高める独自の人材投資が本格化【人的資本経営の実践と課題】
- DXと管理職の意識改革でエンゲージメントを高める【人的資本経営とウェルビーイング】