タレントアンドアセスメント
山﨑 俊明 代表取締役
近年、経営者や人事担当者と話をしていると、必ず話題になることが「最近は優秀な学生がいなくなった」という言葉です。私はこの言葉に違和感を覚えます。本当にそうなのでしょうか。「優秀な学生がいなくなった」のではなく「優秀な学生を見抜けなくなった」のではないのでしょうか。
昔と今とでは、学生の応募方法が大きく変化しました。その代表例が「リクナビ」や「マイナビ」といった就職サイトの登場です。
20年ほど前まではリクルートブックと呼ばれるような情報誌が頼りで、限られた情報ソースの中から志望企業を選び抜き、その後、電話やハガキで会社パンフレットを取り寄せなければならないほど、候補者は手間と時間をかけなければなりませんでした。
そのため、採用する企業にとっては、エントリーするまでにある一定のハードルが課せられていたため、候補者の資質を比較的に見抜きやすかったのかもしれません。
しかし、今は違います。就職サイトの登場により、手間をかけずに会社の情報などを入手することが可能になりました。そしてまた、志望動機が曖昧であったとしても、誰でも容易にエントリーができるようになりました。
そのため、企業は限られた時間と労力のなかで「大量な候補者の中から必要な人材を選び抜かなければならない」という大きな課題に直面しています。
だからこそ、今必要とされているのが、自社に必要な人材を明確に定義した「採用基準」と、個々の採用担当者の「選び抜く力」なのです。
本書では、その会社にとって必要な人材を見抜く方法を紹介しています。重要なことは、まず「会社にとってどのような人材が必要なのかを具体化すること」。そして次に「必要な人材を見抜くための戦略採用メソッドの習得」です。
こうした手法は、グーグルをはじめとする世界のグローバル企業では、すでに実践活用されているものですが、日本の多くの企業では、まだ導入が遅れているようです。
本書で紹介する戦略採用メソッドによってよき人材と巡り会い、さらなる躍進を遂げられることを心から祈念しています。
山﨑俊明 著
東京堂出版、1,400円+税