【人事職の中途採用】グローバルスタンダードに対応できる経験と知識を持つ人材に需要

日本人材ニュース

モーガンマッキンリー
ジェームス・ハイラック 人事紹介部門マネージャー

昨今の人事職市場で大きな動向として挙げられるのがグローバル企業の運営方針や企業戦略の変更による企業内での人事部に求める役割の変化です。

特に商業分野では過去数年大きな変化があり、継続的な発展が見られる中採用活動も最も活発なエリアとなっています。リテール業界でも業務拡張や企業戦略変更により人事部に求める役割に変化が見られ始めています。

日本は現在もなおインターナショナルリテール産業において第2位の市場と言われています。中国人の爆買いなど、増え続ける観光客の流入は日本の小売店に大きな恩恵をもたらしています。リテール業界はサポート業務を拡大し新しい店舗の開店に備えています。

卸売業者が自社の店舗をオープンする傾向にあり、このような新規店舗から老舗ブランドなどすべてのエリアで成長が見られます。これらの成長に加えeコマースを取り入れるなどした、従来の販売方法の枠を超えた新たなビジネス戦略は、人事担当スペシャリストの必要性を更に加速させています。

つまり人事部の規模は拡大されており、これらのチームは大枠でオフィス業務担当部門と店舗担当部門の二つに分けられています。興味深い傾向として店舗担当人事に英語スキルが求められていることが挙げられます。

以前は店舗担当人事の業務内容は店舗スタッフ対応に特化されており英語スキルは必要とされていませんでした。しかし業界におけるグローバル統一化がトレンドの今、店舗担当人事は海外の本社と連携する業務を課されており英語でのコミュニケーション能力が必須となってきています。

現在の日本において店舗担当人事の経験が豊富で英語スキルをも保有する人材は少なく、優秀な人事プロフェッショナルを確保するのは至難の技です。リテール業のグローバル化はここに一つの課題を課せられているといえます。

雇用側は人事担当を採用する際にはどのような人材が会社の要望に適切かを再度確認するとともに、経験エリアやスキルレベルに柔軟に対応する必要が出てくるでしょう。

最近の傾向としてよく目にするのは有名企業がトレーニング&デベロップメントプログラムを構築し実施していることです。このようなトレンドが見られるのは日本では初めてだと言えます。

例えば、 既存の人事部からトレーナーを選任・新規チームを設立し、人事の通常事務業務とトレーニング(人材育成)業務とを分割する事によって業務の特殊性と効率化を図ります。

新たな企業戦略の一つであるブランドの再構築とブランド改革を実施するにあたり、従業員は商品と企業ブランドの再認識及び再トレーニングが必要とされます。売り上げを伸ばす為のブランド戦略において人材教育・育成は必要不可欠なエリアです。

ブランドイメージ変更のトレンドは二方向に別れ、更なる高級ブランドへの移行を目指す企業と若い世代のトレンドを意識し、ブランドから商品デザインまでを若者向けに再開発しなおす企業があります。

M&Aによる多業界に渡って事業を展開する大手企業の出現は、人事部の業務と役割の再検討と改革をもたらしました。

こうした大手企業は典型的な「バックオフィス業務を事務的にこなす」だけの人材ではなく、業界に特化した知識と経験を持ちビジネスパートナーとして各部署のマネジャーや上層部に的確なアドバイスや意見を提供できる人材を求めています。

こんな中、人事シェアードサービスを設立する企業も多く見られるようになりました。グループ内で一つの統括された人事部を持つ事により業務の効率化とコスト削減が期待できます。

シェアードサービスのチームは大きくPayroll (給与)C&B(コスト&ベネフィット) Labor Management(労働者管理)に分かれ、企業によっては人材育成・開発に特化したL&D(ラーニング&デベロップメント)チームを持つ場合もあります。  それぞれのチームには人事ビジネスパートナーと言うインターナルの人事コンサルタントが配属され、チームと会社の架け橋的な役割を担い実際の業務と企業側のニーズの最適化をコントロールしています。

前述の通り、人事職の転職市場の最新トレンドは、これまで長期にわたって望まれてきた「事務的なサポート業務だけがこなせる人材」の需要は減少傾向にあり、企業のグローバルスタンダードに対応できる経験と知識を保持する人事のスペシャリストの需要が高いということです。

企業が採用を成功させるためのポイントとしてまず挙げられるのが、信頼できる人材コンサルタントもしくは市場に詳しいアドバイザーを見つけることです。企業のニーズを把握し市場の最新情報を元に適切なアドバイスを提供してくれるパートナーを持つ事により採用プロセスが効率化され失敗も避けられることでしょう。

採用プロセスには十分な備えが必要です。ブランドイメージや知名度だけでは現在の人材獲得競争に打ち勝つことはできません。人事職の採用市場は競争が激しく候補者の多くは短期間で複数の企業からオファーを受け取ることも少なくありません。

以前は2~3カ月を要していた採用プロセスも最近では数週間で結果が出ることも多々あります。

面接の場は両者にとって相手の事を知る為の貴重な時間です。売り手市場である今、求職者には複数の選択肢があります。誠実で親切な姿勢を崩さず、企業が求めている事や業務内容、職場環境そして提供出来るキャリアパスの可能性について詳しく説明し企業アピールを心がけてみましょう。

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