東大・京大卒などの名門大出身者やコンサルファーム出身者が、続々と相談に訪れるコンコードエグゼクティブグループ。キャリア支援を行うコンサルタントが定着し、高い成果を上げている理由はどこにあるのか。渡辺秀和社長にコンサルタントの採用や育成の方針などを聞いた。
コンコードエグゼクティブグループ
渡辺 秀和 代表取締役社長 CEO
【PROFILE】一橋大学卒。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年にコンコードエグゼクティブグループを設立し、代表取締役社長CEOに就任。「日本ヘッドハンター大賞」コンサルティング部門で初代MVP受賞。東京大学×コンコード「未来をつくるキャリアの授業」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)他。
エグゼクティブ、リーダー人材の求人状況を教えてください
コンサルファーム、PEファンド、グローバル企業、ベンチャー企業の採用意欲は相変わらず高い水準です。コンサルファームは、パートナークラスから第二新卒まで積極的に採用しています。最近ではチーム単位での紹介をするケースもよく見られます。あうんの呼吸で活躍できるメンバーを一括採用し、プロジェクトをすぐに稼働させられるので大きなインパクトがあります。
また、事業会社がCxO人材の採用で、コンサルファーム出身者(ポストコンサル)を積極的に採用しています。優秀なビジネスリーダーを採用しなければ、今後の事業存続が危ないという意識が高まっています。既存クライアントからの求人が増加しているだけでなく、新規の問い合わせも急増しています。
多数の東大・京大出身者やポストコンサルが、キャリア相談に集まっていると聞きます。
「相談者と“長期的で誠実なお付き合い”をして、粘り強く支援していく」ことを実直に続けてきました。その結果、優秀なビジネスリーダーに相談いただけているのだと思います。今では相談者の6割以上が東大や京大、早大、慶大などの名門大学の出身者です。マッキンゼーやBCGなどのポストコンサルやネットベンチャー幹部が集うキャリア支援のプラットフォームが構築されています。
相談者に対する支援で重視しているのは「キャリア戦略」を軸としたカウンセリングです。目指すゴールであるキャリアビジョンを策定し、それを実現するためのステップを一緒に考えていきます。その提案内容は、一般的なスキルマッチングから導き出される提案とは大きく異なっており、相談者の表情が見違えるほど明るくなることも珍しくありません。
また、私たちは、相談者が当社経由で内定を獲得した場合でも、その話を無理に勧めることはありません。むしろ、自主応募や他社経由の内定でも、より良い話であればそちらをお勧めしています。短期的な業績にとらわれずに、誠実な支援を行うからこそ、相談者から信頼を寄せていただくことができます。
「売上実績」ではなく「人物面・価値観」を重視した採用をしているそうですね。
拡大し続ける相談者の要望に応えるため、エグゼクティブコンサルタント(以下、コンサルタント)を積極的に採用しています。
当社には他の人材紹介会社でトップクラスの実績をあげてきた経験者、BCGやベインなどのコンサルファーム出身者も数多く入社しています。しかし、実態としては何よりも人物面や価値観を重視した採用を行っています。人材業界やコンサル業界の出身であることは問いません。
確かに、高い売上実績を持つ経験者を採用すれば、短期的には利益が増大するでしょう。しかし、肝心のキャリア支援のクオリティーが下がってしまっては、目指す組織像とはかけ離れてしまいます。
当社のコンサルタントに必要なのは、「人への思いやり」、「問題解決する知恵」、「自らを律する意思」、「成長を楽しめる心」といった資質です。こうした資質を持つ人であれば、当社での仕事に誇りとやりがいを持ち、楽しみながら成長することができると思います。このような観点から、人物本位の採用を行なっており、第二新卒や新卒も採用しています。
コンサルタントの定着率が高いですが、育成の特徴を教えてください。
キャリアコンサルティングは、キャリア設計に関するスキルはもちろんのこと、人と向き合うため、内面の成長も求められる難易度の高い仕事です。そのため、コンサルタントのスムーズな立ち上がりや成長をサポートすることは、最も大切な経営課題の一つと認識しています。
入社すると、人材紹介経験の有無を問わず、1カ月に及ぶ「CORE研修」を通じて、コンコード流のコンサルティングスキルを身に付けられるようにしっかりサポートします。具体的なスキル・ノウハウを膨大な量の研修資料に基づいて、一つ一つ丁寧に扱っています。
さらに現場に出た後も、研修動画の視聴、少人数制の定例ミーティング、マンツーマンの対話型の面談など、社員全員が成長できるさまざまな体制を整えています。
「ノルマ」がなく、「スカウト」「営業活動」もほとんどしない。
人材紹介の経験者、未経験者を問わず、結果を短期的に求めることは一切ありません。担当している相談者がすぐには転職しないこともあります。早期には売上があがらなくても、何の問題もありません。
あくまでも相談者にとってベストな支援をすることが求められています。相談者との関係だけでなく、コンサルタントとの関係においても、長期的な観点を大切にしています。
多くの紹介会社ではリクルートやビズリーチなどが提供している求職者データベースを利用していますが、当社では利用していません。相談者からの紹介、当社ホームページや書籍を読んだ方などを中心に、多くの相談者がいらっしゃいますのでスカウトメールを送る必要がないからです。
スカウトメールを送る業務はコンサルタントにとって負担が非常に大きい上、一人の求職者に複数の紹介会社から大量のメールが届くため実際に面談やクライアントへの紹介につながらないことも少なくありません。
また、テレアポなどの新規の求人開拓を当社コンサルタントはほとんど行っていません。長いお付き合いの相談者が企業の経営幹部や採用責任者となり、採用に関するお問い合わせをいただくことが非常に多くなりました。さらに、メディアへの寄稿や書籍の出版、講演活動などを通じて、新規企業からの問い合わせも多数いただいています。
「ノルマ」「スカウト」「営業活動」から解放することで、コンサルタントが相談者や採用企業のサポートに集中できる環境を整えたいと考えています。
東京大学「未来をつくるキャリアの授業」など、活動領域が広がっています。
キャリア設計はどなたにとっても大切なスキルですが、残念ながら日本の教育環境ではその技術を学ぶ機会がありません。キャリア設計のノウハウを広く知っていただくために、書籍の出版やカンファレンスでの講演などのキャリア教育活動を行ってきました。
昨年は東京大学経済学部からの依頼で、全12回に及ぶキャリア設計の授業を開講しました。その際、2人の当社メンバーにゲスト登壇してもらいました。このようなキャリア教育活動も、コンサルタントと一緒に引き続き取り組んでいきます。
最後に、貴社でコンサルタントとして働く魅力を教えてください。
コンサルタントは、キャリア支援を通じてビジネスリーダーと企業経営をつなぐプロフェッショナルです。相談者の人生に直結するテーマをマンツーマンで支援し、「あなたのお陰で人生が変わった」と喜んでいただける嬉しさは特別なものがあります。
同時に、“経営幹部や幹部候補の採用”こそが、企業の競争力に直結する時代を迎え、優秀なビジネスリーダーの紹介を通じて組織の成長を支援することができます。私の役割は、コンサルタント一人一人がビジネスリーダーのキャリア支援にベストを尽くせるようにサポートすることです。
当社のコンサルタント応募のために特別なバックグラウンドは必要ありません。相談者とクライアントを誠実に粘り強くサポートしたい人に参画いただき、共に組織を育んでいってほしいと思っています。