専門家に聞く「中小企業の事業承継を成功させるポイント」

アクティベイト 海老 一宏 代表取締役社長

アクティベイト 
海老 一宏 代表取締役社長

社外の異質な才能を持つ人材と出会う機会を増やす

内閣府のプロフェッショナル人材戦略の取り組みでは8000人以上の成約が実現するなど、中小企業が人材紹介サービスを利用して経営幹部を採用する動きが広がっています。外部から経営幹部を採用する理由は、既存事業の拡大(工場新設や海外進出等)に加えて、事業環境の変化やビジネスの高度化に対して既存の経営幹部の経験や知見だけでは対応できないケースが増えているからです。また、事業承継に伴って後継者をサポートできる人材や顧問を求める企業もあります。今やどの企業も社外の異質な才能を持つ人材を受け入れていくことが欠かせません。中小企業の経営者はこれまで以上に社外の人材と出会う機会を増やし、積極的に情報収集することが重要になっています。

事業承継通信社 若村 雄介 代表取締役 CEO

事業承継通信社 
若村 雄介 代表取締役 CEO

引退を少しでも意識したら、次世代の経営体制づくりに着手する

事業承継では、経営者の交代という「点」ではなく、今後の成長戦略と人・組織を固めて次世代の経営体制づくりを進める「線」の取り組みが本来は重要ですが、多くの中小企業ではそうした取り組みが先延ばしになっています。
また、経営体制づくりを進めるにしても、社内の人間だけで自社の置かれた状況や強み・弱みを客観的に見ることは難しく、社員間の意識にズレがあることを理解しておくべきです。経営幹部に後継者となることを打診したものの断られるという話は珍しくありません。親族や従業員への承継、他社への譲渡(M&A)など、どのような形になるとしても、経営者は引退を少しでも意識し始めたら次世代に引き継ぐために何から着手すべきかを、外部の信頼できる専門家に相談することが必要でしょう。

アタックス 小島 健嗣 アタックス社長塾 ディレクター

アタックス 
小島 健嗣 アタックス社長塾 ディレクター

現経営者と後継者のパイプ役を担える存在を社外に得ておく

当社の後継経営人財育成機関「アタックス社長塾」では、課題をあぶり出し、解決するための実践的な指導へのニーズが高まっています。最近の傾向としては「現場社員との意識ギャップを埋めて、いち早く環境変化に対応していきたい」という悩みを持つ後継者が増えています。そのような後継者の悩みを解決するためには、後継者が現場社員から信頼を勝ち取る必要があります。自社を取り巻く環境を理解し、後継者自身が高い熱量をもって取り組める経営課題を設定し、やりきることが重要なポイントです。また、多くの経営承継に接する中で実感するのは、現経営者と後継者だけで率直に話し合うことの難しさです。現経営者と後継者のパイプ役を担える存在を社外に得ておくことも後継者育成を成功させるポイントです。

リクルート 三木 武人 次世代事業開発室 オーナー社長のための事業承継総合センタープロダクトオーナー

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三木 武人 次世代事業開発室 オーナー社長のための事業承継総合センタープロダクトオーナー

M&Aトラブルを避けるために仲介会社を比較検討する

M&Aは情報の非対称性が大きい取引であるため、十分な情報を持たない売り手のオーナー経営者は不利な状況に置かれがちです。専任契約を結んだ仲介会社に任せたものの「着手金を支払ったのに買い手が見つからない」「強引にM&Aをさせられた」といったトラブルが一部では発生しています。こうしたトラブルを避けるためには、特定の相談相手に依存し過ぎず、複数の専門家に意見を求めたり、仲介会社を比較検討することが必要です。また、M&Aを進める上では決めなければならない事項が非常に多くあります。売り手として何を優先したいのかを事前にはっきりさせておくことが、買い手との交渉をスムーズに進めるためには必要です。

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