採用セミナーを活用した募集で事業成長を支える人材を確保【日本M&Aセンター】

成長分野のビジネスで成功を収めるにはスピーディーな人材採用が欠かせない。採用セミナーを活用した募集活動に力を入れている日本M&Aセンター人材戦略室長の山本雅英氏に、採用の状況や取り組みなどを聞いた。

日本M&Aセンター

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山本 雅英 人材戦略室長

事業の特徴や強化している分野を教えてください。

当社は中堅・中小企業に特化して、企業の存続と発展のための友好的M&Aを支援する東証1部上場の国内最大級の独立系コンサルティング会社です。

中堅・中小企業のM&Aに関する企業評価、財務・法務などの専門ノウハウの蓄積、中立な独立系の上場企業という信頼性、全国各地域の約500の会計事務所、地方銀行の9割、信用金庫の6割、商工会議所、証券会社・ベンチャーキャピタルとのネットワークによる圧倒的な情報量などが強固な事業基盤となっており、おかげさまで前期も過去最高の業績を達成することができました。

中堅・中小企業経営者の高齢化に伴う事業承継問題は深刻になっていることから、M&A市場はますます拡大していくことが予想され、3年以内には売上高100億円を目指しています。

また最近は、日本企業同士のM&Aであっても譲渡企業に海外拠点・子会社があるケースが増えていますので、4月から海外支援室を新設して海外における対応力を高めています。

M&A市場の成長が見込まれる中、人材の確保が課題になりますね。

現在、当社が年間に成約させるM&Aは約100組ですが、仲介の主な対象となる黒字で後継者がいない中堅・中小企業は約15万社あると見込まれています。つまり、約1500倍の潜在的なマーケットがあるのです。

このようなM&Aの需要に応えるには完全にコンサルタント不足の状況です。コンサルタントを確保できれば対応力が高まって一層貢献することができ、業績も拡大するでしょう。当社の成長戦略は一にも二にも人材の採用と育成にかかっています。

採用の状況や求めている人材を教えてください。

新卒採用は3年に1回となっています。今年は採用の年に当たり4月に10人以上が入社しました。中途採用は毎年20人以上のペースでコンスタントに行っていく計画です。

M&Aを成功させるには様々な関係者と協力しながら案件を進めなければなりませんので、コンサルタントには高い専門能力のみならず、人間力を磨き続けられる人材を求めています。

「ウオームハート・クールヘッド」と言っていますが、中堅・中小企業の経営者と深い信頼関係を築くことができる人間的な魅力、諸問題を解決に導くための論理的思考能力、弁護士や公認会計士などの専門家と渡り合える知識や交渉力といった能力が必要です。これらを兼ね備えている人材が採用のターゲットになります。

出身業界としては、メガバンクや大手証券などの金融系が多いですが、メーカー、商社、情報関連企業などから転職してくる人もいます。

頭取賞の常連やトップセールスとして活躍していた優秀な人材が入社していますが、共通しているのは当社事業の社会的意義の高さに魅力を感じて応募してきたという点です。当社には中途採用者を1年間で一人前のコンサルタントに育成するノウハウがありますので、M&A業務は未経験で構いません。

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中途採用の人材募集はどのように行っていますか。

応募は人材紹介会社から80%、社員紹介から20%の割合です。自社採用ホームページからの直接応募では求める人材スペックの応募が少なく、求人サイトなどの媒体はコストパフォーマンスが良くないので使っていません。

ビジネス特性もあって当社の転職市場での認知度はあまり高くないため、募集の時点から業務内容や仕事の面白さを求職者に伝えてもらうことが必要です。そのため、人材紹介会社のコンサルタントとの関係作りには大変力を入れています。

できるだけ直接面談の機会を持ち、事業の動向や求めている人材像を理解してもらうことはもちろんですが、年2回は人材コンサルタントを招待して当社の社長と直接コミュニケーションしてもらう懇親の場を設けています。社長が人材採用にかける熱い思いを直接アピールすることは当社の魅力を伝えるのに最も効果的だからです。

その他にも当社がメディアで取り上げられれば記事が掲載されているURLを案内したり、少しでも当社を知ってもらう機会を増やそうとしています。

採用セミナーも頻繁に開催されているようですね。

東京と大阪で毎月採用セミナーを開催しており、50社ほどの人材紹介会社にお願いして「当社やM&A業界について何でも聞けるセミナーに参加してみませんか」と、求める人材スペックの候補者に案内してもらっています。

セミナーで当社のコンサルタントからM&Aの話を直接すれば、参加者の90%以上は採用試験を受けてくれます。仕事のイメージや採用で競合する金融機関などとの違いをコンサルタントが直接伝えることによって、当社で活躍するイメージを持ってもらいやすく、入社意欲を高めることができます。

このセミナーには、人材紹介会社の通常のプロセスの候補者や社員紹介や直接応募の候補者にも参加してもらうようにしています。

面接などの選考プロセスはどのようになっていますか。

人材会社や社員紹介からの応募がほとんどですので書類選考は基本的な事項の確認のみで、できるだけ面接を行うようにしています。

1次面接は私と経営企画室長の2人で分担してスクリーニングを行います。ここでは求める人材像とずれがないかを中心に確認します。2次面接では、担当役員と現場責任者が、現場が欲しいと思える人材かを確認します。

最終面接では、プレゼン課題を実施し社長と会長が最終確認をします。中途採用で珍しいところといえば、「仕事と私」というテーマで必ず作文を書いてもらうところでしょう。文章を通じてロジカルな思考を持っているかを判断できますし、内容を面接で確認することによって候補者の仕事観がよく分かります。

当社にはM&Aで社会貢献するという強い理念がありますので、「世の中の役に立ちたい」という仕事観を持つ人を見極めるために、この作文は欠かせないものとなっています。

人材育成や定着の取り組みを教えてください。

採用後、コンサルタントとして独り立ちできるまでは、新卒は3年、中途は1年を目標にしています。社員研修は充実していますが、やはり仕事を覚えるにはOJTが有効です。

以前は現場や個人任せの傾向があり、中途で入った社員の育成スピードがばらつき、定着にも影響がありました。

そこで、経験豊富な中堅社員と社歴の浅い若年社員がペアを組み、2人1組でM&A仲介業務を完遂するOJT制度を作りました。予算達成目標も2人で共有させるようにしたため、中堅社員が後輩を真剣に指導するようになりました。

この「ペア制度」が奏功し、社歴の浅い若年社員の早期戦力化と、併せて中堅社員のマネジメント能力の開発を推進することができ、その結果、コンサルタント1人当たりの生産性が大幅に向上し予算達成者数も大幅に増加しました。

今後の課題や採用担当者の役割について教えてください。

従業員数が100人を超え、これまでの経営トップとメンバーという文鎮型組織から各部門にマネジャーを配したピラミッド型の組織に移行しつつあります。こうした組織を上手く機能させるためにも各階層のマネジメント力の強化が課題です。

採用担当者は事業に必要な人材を確保することが役割ですが、候補者に最初に会う可能性が最も高いので“広告塔”でもあります。会社に魅力があっても、そのことを候補者や人材紹介会社に伝える採用担当者に魅力がないと会社の魅力も半減してしまいます。

ですから、人事責任者である私が率先してプレゼンテーション研修を受けたりして、声の出し方や表情のつくり方、服装にまで気を配り、良い印象を持ってもらえるように気を配っています。採用担当者がレベルアップを図るとともに、コンスタントに優秀な人材を確保し続けていく仕組みづくりが課題と考えています。

株式会社日本M&Aセンター

代表者:代表取締役会長 分林保弘、代表取締役社長 三宅卓
設立:1991年4月
資本金:10億円
従業員数:131人(連結、2013年6月30日現在)
所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館19F
事業内容:中堅・中小企業に特化したM&A仲介
http://www.nihon-ma.co.jp/

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