【著者が語る】日本企業のポテンシャルを解き放つDX×3P経営

Institution for a Global Society

福原 正大 代表取締役

スイスのビジネススクールIMDが発表した「世界競争力ランキング」で、日本は過去最低の34位となりました。過去30年で日本産業界の存在感がグローバルで急速に失われた背景に、1990年代以降の情報化、デジタル化があることは、論を待ちません。

では日本企業はこのまま、GAFAのような企業に圧倒され続けるのでしょうか。「決してそんなことはない、日本企業には大きなポテンシャルがあり、今こそDXによって開放できるはずだ」というのが、本書で一番言いたいメッセージです。

DXという言葉は、この3~4年で、ビジネスパーソンが毎日、耳にする言葉となりました。一方で「本質的な議論が十分に行われていないのではないか」というのが、HRテクノロジー企業の代表、また一橋ビジネススクール教員として、企業経営者や人事と交流する中での懸念でした。

テクノロジーの活用や戦略はもちろん重要ですが「そもそも企業はどこに向かい、どんな価値を実現したいのか」「組織はどう変わるべきか」といった点こそ、議論すべきポイントではないでしょうか。テクノロジーの発展で新しい価値創造、つまりはイノベーションを起こしやすくなっているのです。

本書では、ダイキン工業、ライオン、日本郵便といった企業の取り組みも例に挙げつつ、「DXに強い人と組織づくり」へのアプローチを示しました。「イノベーションのジレンマ」で有名な故クリステンセン教授らが示した、イノベーション企業に必要な要素である3P(Philosophy・People・Process)のフレームワークにアップデートを加え、DX組織に向けたヴィジョンと哲学、人材戦略、プロセスという全社的な改革の道筋を描いています。

日本・海外のビジネスパーソン80万人以上の人材データから見て、日本の伝統企業で働く人材の潜在力は間違いなく大きく、3Pの観点から問題をクリアすれば、その潜在力を活かすことができます。

各章の終わりには、自社取り組みの振り返りのためのチェックリストも入れていますので、「DXに強い人と組織づくり」に取り組む経営者やDX担当、人事担当、社員など多くの方にとって1つのガイドとなり、また実践につながる書になることを願っています。

福原正大 著
英治出版
1,800円+税

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