時間管理の専門家
石川 和男
「会計は、すべての職種において必要な知識」というのが、私の持論です。
建設会社を例にとると、経理はもちろん、財務は資金繰りの計算のため、総務は社会保険の計算のために会計の知識が必要です。土木や建築を中心とした現場担当は、原価管理、予算管理、実行予算作成のために、積算担当は、入札金額を計算するために必要です。
営業は、得意先が危機的状況にないか、掛代金は回収できるかなど、経営状況を分析するために必要になります。経理以外の管理職も各部署の予算管理のために必要です。
仮に会社を辞めて専業主婦になっても、食費、保険、学費、ローン返済など、家庭の財産を守るために必要になります。人事担当者も、配置先の人件費を考えるうえで必要になります。
経営者は、経営に集中するために会計はスペシャリストに任せることも重要です。しかし、各担当者の話を聴き、会社を良い方向に導くためにも最低限の会計知識を身につける必要があります。
正しい決断をし、社員やその家族を守っていくのが使命だからです。京セラ・第二電電創業者である稲盛和夫先生も著書「実学」で、「会計がわからんで経営ができるか!」と言っています。
もちろん、仕訳帳や総勘定元帳の作成などは、プロである会計担当者に任せてもかまいません。担当者以外は財務諸表や内部資料を読む力をつけることが重要です。簿記と会計、経理と財務、社債と株式、当期純利益と営業利益、管理会計と財務会計、流動比率と当座比率・・・。
すべての職種に必要な会計知識といっても、「専門用語の多さ」と「用語の意味の違いの分かりにくさ」で、苦手にしている人も多い会計の知識。しかし、会計が分からないと決算書も読めず、決算書が読めないとビジネスの構造が分かりません。
そこで会計の入門書を1冊読む。読み終わったら、自社の決算書を開き、営業利益や経常利益の期間比較をしたり、利益率や流動比率を分析してみる。変動費や固定費の割合を調べ、損益分岐点売上高を計算する。書籍と実践を掛け合わせて、会計の知識を深めてみてください。
石川和男 著
KADOKAWA
1,600円+税