さまざまな人事施策をスピーディーに実践して組織力を強化するためには、自社に適した支援サービスをうまく活用していく必要がある。そこで、最近発表された人材の採用・定着・育成に役立つ多くのサービスの中から日本人材ニュース編集部がピックアップして紹介する(文:日本人材ニュース編集部)
スキルアッププログラムとシェアオフィスでリスキリングを支援
社員にリスキリングの機会を用意し、スキルアップや転進を支援する取り組みに注目が集まっている。こうした企業・個人をサポートするため、みらいワークスの人事・人材戦略支援サービス「HRソリューション」と、東京電力ホールディングスのシェアオフィス「SoloTime」は提携し、実践型リスキリング・リカレント支援サービス「プロフェッショナル・キャンパス」を開始する。
アセスメントによるスキルアッププログラムの作成、研修、副業・ワーケーションの紹介・応募などを支援し、関東の36店舗(2022年10月末時点)に加えて地方主要都市への出店も検討されている「SoloTime」のワークスペースを様々な活動を効率的に行えるように提供する。
プログラム受講終了者には卒業証書を発行し、副業に関する知識や一定以上のスキルを有する人材であることを証明する。副業人材を活用したい企業や自治体などとも連携し、マッチングの機会を拡大していく。
産業医が社員面談や健診後の就業判定にスポットで対応
産業医が選任されていない小規模事業場では、社員の健康問題や復職・休職対応などを相談する機会をタイムリーに得ることが難しい。こうした課題を解決するため、産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」を展開するDr.健康経営は、企業向けサービス「スポット産業医」で2つのメニューを提供している。
「スポット産業医面談」は、長時間労働面談、健診後の保健指導(事後措置)、ストレスチェックにおける高ストレス者面談、復職・休職面談、メンタル不調など体調不良者との面談に対応し、事前ヒアリング、面談、面談後の意見書提出まで含む。
「スポット健診判定」は、健診後の医師による就業判定を行う。健診で「所見あり」とされた従業員について「通常業務」「就業制限」「要休業」の3区分で就業判断し、必要に応じてコメントを記入する。同社は、産業医選任、衛生委員会の運営、メンタルケアなど、社員の健康管理を「プロ産業医」が支援している。
動画での擬似体験を職場実践につなげ、成果を出すリーダーを育成
人材版伊藤レポートの公開などにより人的資本への投資が注目を集める中、経営・組織課題の解決を支援するソシオテック研究所は、成果を出すビジネスリーダーを育成する新型Webトレーニングプログラム「DO-LEARNING」を提供する。
実話に基づく課題を再現した動画を視聴しながら、場面に応じて「リーダーとして自分ならどうするか」を選択肢から選んでストーリーを展開させ、リーダー行動を擬似体験していくことでプロジェクトを成功に導く方法を学んでいく。
動画での擬似体験を終えると、良かった点や別の行動を選択した場合の利点が即時フィードバックされ、講師の解説講義を閲覧して行動の原則を整理できる。これらの学びを職場実践につなげる機能も付随しており、eコーチングが行動習慣化をサポート。行動選択やリフレクション、職場実践まですべてがデータで可視化される。管理職、一般職、新入社員の3コースが提供されている。
デジタル成熟度を向上するための全方位型トレーニングを提供
DX推進に取り組む企業の増加を受けて、ディスカバリーズは、社員のデジタル成熟度を向上するための全方位型トレーニングサービス「ディスカバリーズ デジタルアカデミー」を提供する。
Tipsや動画の視聴、研修やトレーニング機会の提供、エキスパートへの相談などを通して、デジタル人材の育成、会社全体のデジタル成熟度を高めるサポートを行う。
「デジタルアカデミー」を先行導入したキリングループに対しては、ポータルサイトやオンラインコミュニティを通した教育施策やコンテンツの周知、ICTリテラシー向上担当者の活動支援、ITツールの特徴や学習コンテンツがわかりやすく見つかる仕掛けとしたアニメーションストーリー動画制作、Microsoft365の活用方法に関するオンライン講座などを提供し、社員のICTリテラシーレベルの年間目標の達成を実現している。
「メンタル不調になる前」に相談できるオンラインカウンセリング
メンタルヘルスの不調によって休職した社員がそのまま退職してしまうケースに悩む人材担当者や管理職は少なくない。「Smart相談室」は社員のモヤモヤを解消し、メンタル不調を防ぐ法人向けオンラインカウンセリングサービスだ。
社員が「メンタル不調になる前」にサポートするため、カウンセリング、コーチング、キャリアコンサルティング、産業医などの100人以上の専門家が社員の悩みや状態に合わせて対応する。利用実績から組織課題を把握し、各種研修や解決に向けたサービスの提案も行っている。
こうした外部相談サービスを導入する企業の中には「相談窓口を設置しても使われない」という課題を持つ企業もある。「Smart相談室」はスマホやPCから気軽に申し込みができるようにして運用担当が利用定着までサポートし、2022年12月1日時点で利用者数は2万7000人を超えている。
100人以上の専門家が相談に応じる
製造業向けスキル管理システムで適正な人材配置や教育訓練を支援
一人一人がどのようなスキルを保有しているのかが分からないと、適正な人材配置や教育訓練が難しい。タレントマネジメントシステム「スキルナビ」を提供するワン・オー・ワンは、製造業向けスキル管理システム「スキルナビ for Manufacturing」で人材情報の一元管理を支援している。
ISO9001取得に必要な力量管理に対応し、テンプレートが初めから導入されているが、各社独自のスキルマップを組み込むことも可能。本人評価・マネジャー評価・相対評価で全社員の能力・スキル情報を収集できるため、育成の過程も分かる。
初期費用0円で専属カスタマーチームがサポートし、膨大な数のスキル項目の設定や独自性の高い管理手法でも短期間・低コストでクラウド上で再現できる。スキルマップやスキル評価表の作成、教育訓練計画の立案などの現場の業務負荷を軽減させる。
教育資料やマニュアルをアップロードし、理解度テストを作成・実施
近年は、業務マニュアルやガイドラインなどを多くの社員に効率的に周知できるオンラインサービスの提供が増えている。ディバータのクラウド教育テストツール「DocPuzzle」は、社員教育資料やマニュアルなどのPDFやWordファイルをアップロードするだけで理解度テストを作成・実施できる。
テストの作成は、アップロードしたファイルからテキスト情報を自動で読み込み、重要なポイントのマークと不正解の選択肢を作るだけで完結する。受講状況や正答率、回答などはクラウド上の1つの管理者画面で把握できる。
新規採用社員の教育、プライバシーマークや情報セキュリティなどの定期テスト、アルバイト向け接客マニュアルの理解度テスト、コンプライアンスへの理解・同意の確認などの導入・活用を想定している。同社はCMS開発やWebサイト構築などで4000社以上を支援しており、カスタマイズの要望にも対応できる。
「個別化への対応力」を強みに、コーチングで組織改革を支援
人材不足が深刻化する中、一人一人の能力をより発揮することが欠かせなくなっている。 個人向けオンラインコーチングスクールや、コーチと出会えるプラットフォームを運営するTHE COACHは、社員の自主自律、関係性作りなどコーチングのニーズの高まりを受けて、2022年11月から、法人向け人材育成・組織開発サービス「THE COACH for Business」の提供を開始した。
BtoC事業で培ってきた一人一人に寄り添う「個別化への対応力」を強みに、「1on1コーチング」「研修」「組織開発」を各社の課題に合わせてカスタマイズして提案することで、持続的なチーム作りを支援する。
プロフェッショナルコーチ、研修講師、組織開発ファシリテーターなど人と組織の内的成長に関する心理学に精通した専門チームが各社の特徴に応じて個人の力を引き出していきながら「自律“共創”型」組織の改革を導く。
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