9割の企業が「人への投資」を重視

日本生産性本部が実施した「『人材を生かす賃金』に関するアンケート調査結果<速報版>」によると、重要度が高いと考える投資分野は「従業員への投資」とする企業が9割を超えた。

企業の人事担当役員を対象に重要度が高い投資分野について聞くと(3つまでの複数回答)、「従業員への投資」とする企業は90.3%に上った。

【投資の重要度】
従業員への投資  90.3%
IT機器への投資  47.1%
研究開発への投資 45.2%
機械設備(IT機器以外)への投資  40.0%
ソフトウェアなど知的資産への投資 26.5%
M&Aへの投資   16.8%

この3年間(2020年度~2022年度)に賃金制度を「変えた」企業は36.8%、「今年度中に変える予定」の企業は3.9%となった。

「変えた」、「今年度中に変える予定」とした企業における対象層は、「全社員」が74.6%、「管理職層」15.9%、「非管理職層」9.5%だった。

賃金制度を変えた(変える)ねらいは、「社員のモチベーション・エンゲージメント向上」が58.7%と6割近くを占める。「専門人材の確保・リテンション」は4.8%と少なかった。

【賃金制度変更のねらい】
社員のモチベーション・エンゲージメント向上 58.7%
人事制度との整合性      36.5%
専門人材の確保・リテンション 4.8%
総額人件費の抑制       0.0%

最近の消費者物価の上昇を正社員の給料に反映するかどうかについて聞くと、「主に月例賃金に反映(ベースアップ)」が39.4%、「主に一時的な現金支給(賞与や手当等)」が18.7%となり、何らかのかたちで対応する企業が6割近くを占めた。

ただし、従業員数300人未満の中小企業では「対応する予定がない」が55.7%を占めた。

日本の正社員の賃金が上がりにくい理由について、7割近くの企業が「いったん賃金を上げると下げることが難しい」と回答した。「労働生産性が高まっていない」との回答も 65.8%あった。

【賃金が上がりにくい理由】
いったん賃金を上げると下げることが難しい 69.0%
労働生産性が高まっていない 65.8%
業績が低迷している 29.0%
株主等への分配が優先されている 6.5%

調査は、2022年11月7日~28日、日本生産性本部賛助会員企業の人事担当役員855人を対象に郵送とメールで実施し、155件の回答を得た。

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