組織・人事

5割超の企業で賃上げの見込み、ベアの割合は過去最高の49.1%

帝国データバンクが実施した「2023年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、企業の56.5%で賃金改善があると見込んでいることが明らかとなった。

賃金

2023年度の企業の賃金動向について聞くと、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は56.5%と2年連続で増加、2018年度見込み(2018年1月調査)と並び過去最高水準となった。

一方、「ない」と回答した企業は17.3%と前回調査(19.5%)から2.2ポイント低下、調査開始以降で最も低い水準だった。

【賃金改善状況の推移】
2021年度見込み ある42.0%、ない28.0%
2022年度見込み ある54.6%、ない19.5%
2023年度見込み ある56.5%、ない17.3%

賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」のすべてで、前回調査の2022 年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇した。

【2023年度見込み 賃金改善を実施する割合】
大企業   54.3%(前年51.1%)
中小企業  56.8%(同55.4%)
小規模企業 49.3%(同46.7%)

賃金改善の状況について業界別にみると、「建設」(60.1%)が最も高く、「製造」(60.0%)や「卸売」(57.2%)が続いている。

【2023年度見込み 賃金改善を実施する割合】
農・林・水産 50.0%
金融     35.6%
建設     60.1%
不動産    43.4%
製造     60.0%
卸売     57.2%
小売     48.2%
運輸・倉庫  55.1%
サービス   55.7%

賃金改善の具体的な内容をみると、「ベースアップ」が49.1%(前年比2.7ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.1%(同0.6ポイント減)となった。「ベースアップ」は過去最高となった前年の46.4%を上回り、2年連続で調査開始以降の最高を更新した。

2023年度に賃金改善が「ある」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が71.9%(複数回答、以下同)と最も多かった。

また、今回調査で初めて尋ねた「従業員の生活を支えるため」は70.1%と7割を超え、トップに迫る水準となった。

さらに、飲食料品などの値上げが続いている「物価動向」(57.5%)は前回
より35.7ポイント増加しており、2015年度(23.8%)を大きく上回る過去最高水準に達した。

【賃金を改善する理由トップ5】(複数回答)
1位 労働力の定着・確保 71.9%
2位 従業員の生活を支えるため 70.1%
3位 物価動向 57.5%
4位 自社の業績拡大 26.2%
5位 同業他社の賃金動向 22.3%

調査は、 2023年1月18日~31日、全国2万7362社を対象に実施し、1万1719社の有効回答を得た。

【あわせて読みたい】

賃金抑制が人材流出危機に
今起きているジョブ型賃金制度のカラクリ
経済再開で採用競争が激化

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
MONTHLY

ピックアップ

PAGE TOP