中途採用のニーズの増加と採用をめぐるトラブルの増加
中途採用とは、一般的に、企業が新卒者を定期採用するものとは異なり、就業経験者等新卒者以外の者に
ついて不定期に採用することをいいます。
中途採用という言葉自体は特に目新しいものではなく、各企業における採用計画に従い、都度行われてきたものです。ただ、従前は、新卒一括採用が中心であり、中途採用は、急な事情で重要なポストが空席となり、当該ポストを担い行う職務に必要な知識・経験を有する人材を速やかに確保する必要が生じた場合など、件数としてはそれほど多くはなかったかもしれません。
ただ、ここ数年、採用市場における中途採用の割合が増加しています。
この点、日本経済新聞社の調査(主要企業5010社に採用計画を聞き、うち2369社の回答を集計したもの)によれば、2022年度の中途採用は採用計画全体に占める比率が3割を超えており、デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素の需要増加による即戦力の採用ニーズが高まっているとの分析がなされているところです。
筆者の体感としても、中途採用に関する相談件数が数年前に比して増加傾向にあるように思われ、中途採
用のニーズの増加とそれに伴う法的トラブルの増加が推測されます。
そこで、本稿では、近年増加傾向にある中途採用に関し、従前よりトラブルとして認識されていた採用後の能力不足の問題と、最近増加傾向にあると見受けられる入社までの採用手続上の問題に関し、人事担当者として対応する際の留意点を確認しておきたいと思います。