組織・人事

トラブル頻発の労働日数・時間数の変更 シフト制勤務の労働条件と就業規則の留意点

シフト制による勤務について

通常、フルタイムの労働者は、週のうち特定の曜日に(例えば月曜から金曜までの5日間)、一定の始終業時刻を定めて(例えば9時から18時まで)勤務する形態が一般的ではありますが、パートタイマーやアルバイトを中心として、採用時の労働条件としては労働日や労働時間を確定的に定めず、週や月など一定の期間において、その時期の繁閑や他の労働者の予定等も勘案しながら、シフトにより労働日、労働時間を定めて勤務する、という働き方も多く採用されています。

このような働き方は、「シフト制」と呼称されており、令和4年1月7日付で、厚生労働省から、「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(以下「留意事項」といいます。)が発表されました。

留意事項が策定された背景には、シフト制による勤務の場合、その時々の事情に応じて柔軟に労働日や労働時間を設定できるという労使双方にとってのメリットがある一方で、使用者の都合によって労働日を一方的に削減させられたり、労働者の希望を超える労働日数が設定されたり等、労働紛争が発生しやすい構造であるということが挙げられています。特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、使用者として営業日数や配置する従業員を減らさざるを得ない等の事情から、使用者において一方的にシフト上の労働日数や時間数を削減するケースが頻出し、これにより労使の紛争に発展する例も見られます。

本稿では、厚生労働省による留意事項の内容も踏まえながら、シフト制による勤務に関して留意すべき点を紹介します。なお、留意事項では、いわゆる交替勤務(年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数が決まっており、その上で、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態)を除くとされていますので、本稿での検討も、交替勤務を除いています。

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