人手が不足していない要因は、「賃上げ」が51.7％でトップとなっていることが帝国データバンクの「企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート」で明らかとなった。
正社員・非正社員の人手が不足していない要因を聞くと、「賃金や賞与の引き上げ」と回答した企業の割合が51.7％と5割超となり、最も高かった（複数回答、以下同）。
次いで、清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置など「働きやすい職場環境づくり」（35.0％）、「定年延長やシニアの再雇用」（31.2％）が続いた。
【人手が不足していない要因 トップ10】（複数回答）
賃金や賞与の引き上げ 51.7％
働きやすい職場環境づくり 35.0％
定年延長やシニアの再雇用 31.2％
福利厚生の充実 26.6％
公平で公正な人事評価 22.0％
働き方の多様化やワークライフバランスの推進 18.8％
業務プロセスの見直しなどによる効率化 18.8％
仕事内容の魅力度の向上 17.6％
多様な人材の積極的な採用・登用 16.2％
機械化や自動化の実施 14.2％
人手が不足している要因を聞くと、「条件に見合った人材から応募がない」と回答した企業の割合が54.6％となり、最も高かった（複数回答、以下同）。近況について帝国データバンクでは「とりわけ、即戦力を求める中小企業ではその傾向が強く、採用に苦難している状況がうかがえる」と指摘する。
次いで、「業界の人気がない」が45.4％、「企業の知名度が低い」が 42.2％で続いた。
【人手が不足している要因 トップ10】（複数回答）
条件に見合った人材から応募がない 54.6％
業界の人気がない 45.4％
企業の知名度が低い 42.2％
労働環境が厳しいと受け止められる 37.2％
賃金や賞与などに満足が得られない 35.7％
資格や高度な技術・スキルが必要 23.8％
高齢化による退職者の増加 23.7％
仕事内容に満足が得られない 19.7％
時間外労働の上限規制や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用 13.8％
転職市場の活発化 13.2％
多様な働き方への対応が十分でない 12.6％
「人手が不足している要因」について、業界別に全体より10ポイント以上高かった項目をみると、「建設」では、「業界の人気がない」（64.1％、全体比18.7ポイント増）や、長時間労働などを含む「労働環境が厳しいと受け止められる」（58.8％、同21.6ポイント増）などの割合が高かった。
“2024年問題”が差し迫る「運輸・倉庫」では、「時間外労働の上限規制
や休暇取得の義務化など働き方改革の逆作用」（32.6％、同18.8ポイント増）のほか、「業界の人気がない」（69.8％、同24.4ポイント増）、「労働環境が厳しいと受け止められる」（62.8％、同25.6ポイント増）などが目立った。
また、「小売」は「賃金や賞与などに満足が得られない」など報酬に関する項目の割合が全体を大幅に上回っており、「不動産」は「資格や高度な技術・スキルが必要」、「卸売」は「企業の知名度が低い」が高かった。
調査は 2023年5月12日～16日にインターネットで実施し、1033社の有効回答を得た。
