ジェイ エイ シー リクルートメント
佐原 賢治 海外進出支援室 室長 チーフアナリスト
【PROFILE】大学卒業後、一貫して「人材採用」に関する業務に従事。現在はJAC Recruitmentのマーケティングスペシャリスト、およびアナリストとして活動中。専門分野は「日本企業のグローバルビジネスと人材戦略」で、年間4~500社の経営者・海外事業部長・人事部長らと会い、国内外における人材採用に関するコンサルテーションを行なっている。また同テーマに関する定期的なリサーチを行ない、その結果をメディアや自治体・金融機関等が主催するセミナー等で発表している。個人的には大学院(修士課程)で本テーマの学びを深め、「日本企業におけるグローバル人材確保~国内企業10社へのインタビューから」として修士論文にまとめた。(2021年3月修了)。著書「外国人材の雇用戦略~採用・法務・労務」(共著 ※第1章「外国人材の採用と活用」を担当、2020年1月日本法令)、日経産業新聞「HRマネジメントを考える」隔月連載中。
「グローバル人材が足りない」。これは1980年代から指摘されている我が国における“旧くて新しい課題”です。
その間、企業の海外事業展開は進み、外資系企業や外国人材の誘致も進みました。一方でSNSの普及や英語学習教材の充実、コミュニケーションツールの発達により、人々が“外国語”や“海外”に触れることは極めて容易になりました。
それにもかかわらず依然としてこの問題が解決されていないのは、「グローバル人材」が、単に「英語ができる」「海外経験がある」といった一定の条件を満たす人材を指すのではなく、時とともに変化・進化するグローバルビジネスにおいて、活躍し得る人材の要件も変化すること、そしてその要件を満たす人材を遅れなく獲得することが難しいということではないでしょうか。
本書は、私が国際的な人材紹介会社のアナリストとして10年以上にわたって行ってきた「日本企業の海外事業展開と人材戦略」に関する各種調査の結果や、数多くの経営者、人事のプロ、海外駐在員といった数千人の方々との対話をもとにした実務書です。
明らかにしたかったのは「なぜいつも採用は間に合わないのか」。これは私が日々の活動の中で、多くの企業が「年内に採らなければいけないのに」「本当は先月までに(採用内定者を)決めておきたかったのに」というように常に切羽詰まった状況にあること、それにもかかわらず事業部門側では必要な人員確保が人事部任せになってしまっていること、その切羽詰まった状況が繰り返されているにもかかわらず明確な対策が講じられていない、といった問題を目にし続けているからです。
そして「採用が間に合わない」のは海外事業要員だけでなく、DXや事業承継、新規事業参入などの要員も同様です。必要な人材を遅れや妥協なく確保するために、それをいかに予測し、またいかに適切な候補者を集め、選考・採用するのかといった技術論や具体的事例にもいかんなく紙幅を費やしていますので、採用だけでなく、教育や企画といった人事の様々な観点から一読いただけますと幸いです。
佐原賢治 著
アメージング出版
1,500円+税