RYZE Consulting
ウィリアム・デローム 代表取締役
【PROFILE】2002年来日後、東京を拠点に人材コンサタントとしてのキャリアを確立。特にIT企業のエグゼクティブサーチにおいて手腕を発揮し、APACエリアのグローバルIT企業のヘッドハントにおいて日本一のトップチームを率いるリーダーとして16年間活躍してきた。クライアントにとっては、企業の潜在的なニーズを汲み取り人材市場を見据えた客観的な視点を提案する人材コンサルタントして、また候補者にとってはキャリアパスの可能性を広げるキャリアコンサルタントとして、双方の良きアドバイザーとしての役割を果たしている。カナダ、モントリオール生まれ。コンコーディア大学卒業後、グローバル電子機器企業で勤務。フランス語が堪能。2002年に来日、日本の永住権を持つ。趣味は歴史と温泉と娘と遊ぶこと。
この1年、大手ハイテク企業のレイオフがテクノロジー関連の雇用市場に大きな不安をもたらしました。多くのレイオフや雇用凍結にもかかわらず、ハイテク人材の需要は引き続き旺盛で激しい獲得競争が続いています。
日本での事業確立や成長を目指す中小ハイテク企業の採用は活発で、特にクラウド、AI/機械学習、データ・データベース管理、アドバンス・アナリティクス、IoTテクノロジー分野の採用が増加傾向です。
もう一つの傾向は、コロナ禍でeコマースが急成長し、大手IT企業の収益が大幅に伸びて大量採用した結果、市場に出回る人材が不足したことです。特に中小IT企業は、大企業のブランドや高額オファーに太刀打ちできず適切な人材が補充されなかったと考える重要な役職の人材を補充・改善するための採用が見られます。
大手ハイテク企業の大量採用は大幅な賃上げをもたらし、多くの候補者はより高額な給与、株式、RSUといった良い採用条件に慣れてしまったため、企業は現在これを調整する必要があります。給与は必ずしも伸びていないものの下降圧力はまだ見られません。
特に中小企業では全ての職務で高い英語力が必須となってきています。営業職は業界の専門知識と実績が重要です。技術者にとってAIスキルは非常に価値があり、かなり需要高です。企業は学歴ではなく経験やスキルを優先して即戦力かを最重視しています。
オンライン面接は採用スケジュール管理をより簡単・迅速にし、最初のスクリーニングには非常に有効ですが、欠点は転職へのコミットメントを欠く候補者が増えたことです。複数内定を獲得する候補者も増え、内定獲得が事務処理的なプロセスとなる側面を生み出しました。
改善するには、候補者への面接フィードバック、迅速な意思決定のためのプロセス合理化、可能であれば面接を直接行うことが重要です。直接会うことで候補者は企業文化を感じ取り、採用側はオンラインでは掴みにくい候補者の非言語的な様子から洞察を得られ、最終段階や内定後の辞退も減らすことができるはずです。