組織・人事

企業本社の「脱首都圏」の傾向は大幅に減速

2022年(上半期)は転出企業が転入企業を44社上回る「転出超過」だったのに対し、2023年(上半期)は8社の転出超過にとどまっていることが、帝国データバンクの本社移転動向調査(2023年上半期)によって明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

2023年1~6月間に判明した、首都圏から地方へ本社を移転した企業は172社に上った。昨年に続き3年連続で150社を超えたほか、22年同期の水準を上回るなど高水準で推移した。

このペースが続いた場合、首都圏外への企業移転は2001~03年以来20年ぶりに3年連続で 300社を超える見込みのほか、1990年以降、21年に次ぐ2番目の多さとなる可能性もある。

一方、同期間における首都圏への転入企業は164社で、22年から大幅に増加したほか、過去10年で15年・21年(172社)に次ぐ多さとなった。

企業の首都圏流入の動きは昨年まで停滞していたものの、23年は一転して活発化している。特に、年売上高10億円以上の地場中堅・大手企業などで首都圏への本社移転が目立ち、23年1~6月の首都圏転入社数における割合(24.5%)は、前年同期の18.5%を大幅に上回った。

この結果、2023年1~6月における首都圏への本社移転動向は、転出企業が転入企業を8社上回る「転出超過」となった。ただ、転出超過の社数は22年同期(44社)に比べて大幅に減少した。

【本社移転動向 首都圏への転入】(各1~6月)
2019年 149社
2020年 125社
2021年 172社
2022年 124社
2023年 164社

【本社移転動向 首都圏への転出】(各1~6月)
2019年 132社
2020年 127社
2021年 186社
2022年 168社
2023年 172社

首都圏から地方へ移転した企業の転出先では、「大阪府」の 22社が最多で、1~6月としては2年ぶりに20社を超えた。「福岡県」も1~6月としては2年ぶりに10社を超え、大都市に移転先が集中する傾向が続いた。

ただ、移転先の都道府県数は計34にとどまり、前年同期(37)から減少したほか、首都圏に隣接する北関東3県への移転社数(前年同期33→35社)は前年から増加した。

現況について帝国データバンクでは「首都圏から転出する企業は、コロナ禍で目立った“遠方・広範囲”への動きから、東京などアクセスしやすい首都圏近郊へ回帰の兆しもみられる」と指摘する。

【首都圏から地方へ移転した企業の転出先 トップ5】
1位 大阪府 22社
2位 福岡県 15社
3位 茨城県 14社
4位 栃木県 12社
5位 愛知県 11社

地方から首都圏へ移転した企業の転入元では、「大阪府」(33社)が最も多かった。次いで「福岡県」(15社)、「愛知県」(13社)などが続いた。

【地方から首都圏へ移転した企業の転入元 トップ5】
1位 大阪府 33社
2位 福岡県 15社
3位 愛知県 13社
4位 兵庫県 11社
5位 静岡県 10社

今後の動向について帝国データバンクでは「東京都心を中心に高機能オフィスの供給が拡大するなど企業の受け入れ態勢が整ってきているほか、取引先との関係構築、人材採用の強化、海外や地方へのアクセス面など、首都圏に本社を置くメリットが再び見直され、地方の中堅企業を中心に首都圏への本社移転が増えている。こうした流れが続けば、首都圏の本社移転動向は3年ぶりに転入超過に転じる可能性がある」と分析する。

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