労働者が不足していて、かつ、過去1年間に何らかの労働者不足の「対処をした」事業所の割合は66%、今後1年間に「対処をする予定」とする事業所の割合は65%となったことが、厚生労働省の8月の労働経済動向調査で分かった。(文:日本人材ニュース編集部)
労働者不足の対処方法(複数回答)をみると、調査産業計では過去1年間及び今後1年間とも「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」の割合が最も多かった(過去1年間:56%、今後1年間:57%)。次いで過去1年間は「在職者の労働条件の改善(賃金)」(46%)、今後1年間は「臨時、パートタイムの増加」(44%)が多い。
【過去1年間における労働者不足の対処方法 トップ5】
正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加 56%
在職者の労働条件の改善(賃金) 46%
臨時、パートタイムの増加 42%
派遣労働者の活用 41%
求人条件(賃金、労働時間・休暇、学歴、必要資格・経験等)の緩和 32%
【今後1年間における労働者不足の対処方法 トップ5】
正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加 57%
臨時、パートタイムの増加 44%
在職者の労働条件の改善(賃金) 39%
派遣労働者の活用 36%
求人条件(賃金、労働時間・休暇、学歴、必要資格・経験等)の緩和 33%
産業別にみると、「卸売業・小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業・娯楽業」では、過去1年間及び今後1年間とも「臨時、パートタイムの増加」の割合が、「サービス業(他に分類されないもの)」では、過去1年間及び今後1年間とも「在職者の労働条件の改善(賃金)」の割合が最も多かった。
2022年度新規学卒者の採用枠で正社員の募集を「行った」事業所の割合は、調査産業計で58%となった。
その募集時期は、調査産業計では「春季(3月~5月頃)のみ」とする割合が最も多く37%、次いで「年間を通して随時」が36%、「年複数回(春季と秋季など)」が15%などとなった。
8月1日現在、未充足求人がある事業所は全体の56%。産業別に見ると、「医療・福祉」(74%)、次いで「宿泊業,飲食サービス業」(65%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(65%)、「運輸業・郵便業」(61%)と4産業で6割を超えた。
正社員等の労働者過不足判断D.I.(「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値)は45ポイントとなり、2011年8月調査から49期連続の不足超過となった。
全ての産業で不足超過となっているが、特に「医療・福祉」(61ポイント)、「建設業」(58ポイント)、「運輸業・郵便業」(56ポイント)で人手不足を感じている事業所の割合が多い。
一方、パートタイムの労働者過不足判断D.I.は30ポイントで、2009年11月調査から56期連続の不足超過となった。
特に「宿泊業,飲食サービス業」(53ポイント)、「生活関連サービス業・娯楽業」(43ポイント)、「サービス業(他に分類されないもの)」(43イント)で人手不足を感じている事業所の割合が多い。
2022年4~6月に中途採用を実施した事業所は全体の68%となり、前年同期を3ポイント上回った。
産業別に見ると最も多いのは「医療、福祉」(83%)、次いで「宿泊業・飲食サービス業」(75%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(75%)が続いた。最も低かった「建設業」と「金融業,保険業」でも52%と、5割を超えた。
今後、7~9月では60%の事業所が中途採用を予定している。
調査は、2022年8月1日現在の状況について8月1日~7日に実施し、主要産業の30人規模以上の事業所のうち5780事業所を抽出して、2802事業所から有効回答を得た。