2022年度の就業1時間当たり付加価値額は5110円、4年連続で上昇

2022年度の日本の時間当たり名目労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は5110円となったことが、日本生産性本部が発表した「日本の労働生産性の動向2023」で明らかとなった。日本の名目労働生産性(就業者1人当たり付加価値額)は836万円だった。

2022度の日本の時間当たり名目労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は5110円。名目ベースでは2019年度から4年連続で上昇している。労働生産性水準を過去と比較する場合は実質でみるのが一般的だが、名目・実質いずれでも1995年度以降で最も高くなっている。

時間当たり実質労働生産性上昇率は、+0.7%。上昇率がプラスになったのは2年連続だが、2021年度から0.9%ポイント落ち込んでいる。

実質労働生産性上昇率=実質経済成長率-就業者増加率-労働時間増加率となる。2022年度は、経済の拡大(+1.4%/実質経済成長率)が労働生産性の上昇要因となった一方、インプットに相当する就業者数が+0.3%、労働時間が+0.3%増加したことが労働生産性上昇率を下押しする方向に寄与した。

2022年度の日本の1人当たり名目労働生産性(就業者一人当たり付加価値額)は836万円で、2年連続で上昇した。名目ベースでみる限り、コロナ前(2019年度)をやや上回るくらいの水準になっている。

実質労働生産性の動向について生産性本部では「2022年度と同様、雇用や労働時間の増加が生産性を押し下げているとはいえ、経済が拡大する中で雇用や労働時間が増加するのは、ある意味自然な姿ともいえる。むしろ、最近よく言われるAI活用が奏功すれば 、労働投入に依存せずにアウトプットの拡大がある程度可能になる。そうすると、人手不足解消とともに労働生産性向上にも大きく貢献する可能性がある」と指摘する。

労働生産性の動向を産業別にみると、労働生産性上昇率が最も高かったのは宿泊業で、前年から3割近く(+27.8%)改善している。

労働生産性が前年より改善したのは、主要17産業中8分野だった。労働生産性が上昇したのは、生活関連サービス業(+8.9%)や小売業(+1.3%)のように個人消費の回復が後押しした分野だけでなく、業況が一段落 (アウトプットが減少)する中で雇用も減少したために労働生産性上昇率が数字上プラスになった情報通信業(+2.2%)のような分野もみられる。

一方、賃金をみると、電気・ガスを除く16分野で上昇している。特に、飲食店や物品賃貸業 は、生産性が低下する一方で賃金が上昇しており、業況や生産性 が十分改善しないまま賃金負担が増す厳しい状況に陥っている。

製造業の労働生産性上昇率は20業種中7分野でプラスとなった。労働生産性上昇率がプラスになった7業種のうち6業種が機械関連業種であり、特に業務用機械(+9.8%)や輸送機械(+7.7%)は、半導体の供給制約の緩和や円安による輸出環境の好転などを追い風に生産活動が拡大したことで大幅に労働生産性が上昇した。

製造業の賃金をみると、20業種中15分野で上昇しており、労働生産性が上昇した分野より多くなっている。しかし、労働生産性と賃金がともに上昇している分野は生産用機械や輸送機械、情報通信機械など4業種にとどまる。

その他の人材採用や人事関連の記事はこちら

【あわせて読みたい】

PAGE TOP