さまざまな人事施策をスピーディーに実践して組織力を強化するためには、自社に適した支援サービスをうまく活用していく必要がある。そこで、最近発表された人材の採用・定着・育成に役立つ多くのサービスの中から日本人材ニュース編集部がピックアップして紹介する(文:日本人材ニュース編集部)
人権デュー・ディリジェンス体制の構築から実施まで支援
人権侵害に直接加担することはもちろん、人権侵害するステークホルダーを黙認したり間接的に助長することに対しても厳しい目が向けられている。人権リスクに対する企業の本質的な取り組みを支援するため、ニュートン・コンサルティングは、「人権リスク対応サービス」を開始した。
人権リスクの評価、人権方針の策定、人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの設計と実装を通じて、企業が人権と相対し、リスクを適切に管理するためのサポートを行う。目標やルールを整備するだけでなく、確実な運用の仕組みを最終的には企業が自走できるようにスキルトランスファーを重視する。社内のより多くの関係者を巻き込むために勉強会を実施したり実践をフォローし、グローバル対応のための英語による会議、ファシリテーションや助言なども提供する。
海外人事業務に特化したクラウドサービスに給与計算を追加
海外展開する企業の給与計算業務では、各国で異なる通貨、税率、物価などに対応する必要があり、人事担当者の負担が大きい。
こうした課題を解決するため、海外人事業務に特化したクラウドサービス「AGAVE」を提供するサークレイスは、新サービス「AGAVE海外給与計算」を追加し、提供を開始した。
海外給与の計算、駐在員情報の管理、給与台帳の作成、給与改定通知書の作成などの機能を備え、計算ミスや変更漏れへの不安を解消するために正しく計算できた式をロックして再利用することで、データの入力ミスや誤操作を未然に防ぐ。
計算の変更や確認作業が効率的に行えるよう、計算式の変更履歴などを記録して検索できるようになっている。また、意味を持つ項目名で計算式を作成してブラックボックス化を防止。給与計算業務全体を可視化することで、計算式の修正業務や引き継ぎも容易になる。
バイタルデータからストレス状態を把握し、職場の活性化を図る
リモートワークの普及などを背景に、従業員エンゲージメントの低下や離職者が増加する悩みを抱える企業からの相談を受け、NTTPCコミュニケーションズは、バイタルデータを分析して従業員自身のセルフケア促進と企業による職場環境の改善をサポートする「健康経営®支援サービス」を開始した。
従業員がリストバンド型バイタルセンサーを着用することで、「ワークエンゲージメント」「ストレスフル」「リラックス」「バーンアウト」の4つの心的ストレス状態を算出し、心身の状態を指標化する。指標化されたデータを集計・分析することによって、従業員は無自覚だった体調や疲れの傾向に気づいて、健康の維持や働き方の最適化を図ることができる。
また、データ分析によって課題のある組織や環境を特定できるようになるため、従業員や当該組織のリスク度を軽減したり活性度を向上させることを通じて、従業員エンゲージメントの向上につなげられる。
実践に近い基礎教育を行い、ECサイト運営人材を紹介予定派遣
EC市場が拡大する一方、ECサイトを運営する企業ではEC・デジタル人材の確保が課題となっていることから、パーソルマーケティングは「ECサイト運営人材育成型人材サービス」を開始した。
同社は販売戦略の立案と人材サービスを提供し、店舗支援実績は年間1200社を超える。実店舗運営のノウハウを生かし、未経験者にECサイト運営に関する基礎教育を行った上で、ECサイト運営事業者に向けて紹介予定派遣サービスを行う。
基礎教育では、EC概要・店舗情報デザイン・決済注文・配送などのECサイトの店舗における設定や商品管理、会員・メール管理などについて、1人の講師が3人の受講生を対象にGMOメイクショップのカートシステムを使用して実践に近い研修を行う。
紹介予定派遣の利用料金は、派遣期間が2800円~ /時間。紹介予定派遣の企業雇用へ切り替え時の手数料は3カ月後30%~、6カ月後25%。
東京大学と開発したAIで受検者を細かく評価し、レポートを即時納品
採用面接官による人物評価のばらつきや煩雑な採用業務の負担など、多くの人事担当者が抱える課題を解決するため、タレントアンドアセスメントは、対話型AI 面接サービス「SHaiN」に東京大学と共同開発した「面接時の人物に対する評価AI」プログラムを搭載した新スタンダートプランの提供を開始した。
「SHaiN」は470社以上(2023年11月末時点)で利用されており、人間の代わりにAIが面接を実施することで、合否基準の統一や先入観のない公平公正な選考を実現。受検者はスマートフォンやタブレットを利用し、いつでもどこでも面接を実施できるため、日程による選考辞退などの機会損失を減らせる。
新スタンダードプランでは、評価AIを搭載することで評価点数を小数点以下第1位までの3桁表示に変更し、特徴のある項目を今まで以上に細かく評価できるようになった。また、生成AI 「ChatGPT」を導入しており、これまで専門スタッフが関わっていた「回答内容の校正」「回答内容のサマリー作成」を自動化することで、面接評価レポートの即時納品が可能になっている。