男女間賃金格差は過去10年で3.6%縮小 ジェイ エイ シー リクルートメント調べ

スキルと経験を活かした転職では、男女間賃金格差は過去10年で3.6%縮小していることが、世界11カ国で人材紹介事業を展開するジェイ エイ シー リクルートメント(東京・千代田、田崎ひろみ会長兼社長)の分析で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

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ジェイ エイ シー リクルートメントが転職を支援した男女の男女間賃金格差は、2014年の14.3%から2023年の10.7%へ、過去10年で3.6%縮小した。

経済協力開発機構(OECD)が公表した日本全体における格差よりも大幅に少なく、OECD平均以上に格差が縮まっている。

理由についてジェイ エイ シー リクルートメントは、「転職に際して、スキルや経験、期待できる成果への対価として年収が決定する傾向が強く、性別や年齢が理由でないことが多いため、女性の平均年収は年々増え、男女間の賃金格差が縮小した。また、大手・中堅企業の多くはダイバーシティ推進に積極的に取り組んでおり、女性に対する平等な機会や報酬が提供されることで、男女賃金格差の縮小につながっている」と指摘する。

【男女間賃金格差】
2014年 14.3%
2015年 13.8%
2016年 16.0%
2017年 12.7%
2018年 11.9%
2019年 10.4%
2020年 10.6%
2021年 11.1%
2022年 10.3%
2023年 10.7%

女性の転職決定時の平均年収は、2014年の約560万円から2023年は約697万円と24%増加した。

CAGR(年平均成長率)は女性が2.44%、男性が1.97%と、女性の伸び率の方が男性に比べて高かった。

かつては男性の活躍が特に目立っていた業界や職種にも、女性の転職支援実績が増えている。

ジェイ エイ シー リクルートメントによると、特に女性採用が顕著に増えている業界については、製造業界のなかでも、自動車・自動車部品、化学、電気・電機、半導体の業界で右肩上がりとなっているという。

その理由については「技術の進展やビジネスモデルの転換により男女の体力差が影響する業務が減り、一方で事業環境の変化や速度が高まりイノベーションを生み出す必要性に駆られている。さらに労働人口の減少が進んでいることから、男性中心の業界においても女性を含む多様な人材の活用が、企業にとっての重要な経営課題となっている」と指摘する。

製造業界における転職先の職種については、技術系とIT系の伸び幅が大きい。これは主に自動車業界、または化学メーカーの技術職、およびいずれの業界でも求められているデータサイエンティスト、AIアプリエンジニア等の職種だ。

IT業界においては、エンジニア全般やプロジェクトマネージャー(以下、PM)、なかでもSI(システムインテグレーター)のPM職において、女性の転職支援実績が増えている。

建築・不動産業界では、建築系・ゼネコン系の職種である設計(意匠・構造・設備)、CM(コンストラクションマネジメント)、施工管理、研究などで女性の転職が増えている。

管理部門(CxOクラス除く)は、従来、女性の採用が多いが、近年、いっそう女性の転職支援実績が増えている。顕著なのは、サステナビリティ推進室、ダイバーシティ推進室の室長や室長兼執行役員といったポジションだ。

近年の男女間賃金格差についてジェイ エイ シー リクルートメントでは「JACの主力領域である管理職と専門職の転職においては、男女関係なく、スキルや経験、そこから期待する成果に対して年収が設定されている傾向が強い」と指摘した。

調査は、2014年1月~2023年12月、ジェイ エイ シー リクルートメントが転職支援をした男女を対象に転職支援実績のデータを分析した。

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