上司との面談で「全く本音で話していない」と回答した人が41.6%に上っていることが、パーソル総合研究所(東京・港、萱野博行社長)が実施した「職場の対話に関する定量調査」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
職場での会話機会のうち、本音で話せている割合を聞くと、上司との面談で51.2%、チーム内の会議で52.1%が、「2割未満」と回答した。過半数以上の従業員が、上司面談・会議において本音・本心をほとんど話していない。
【上司との面談・会話機会のうち本音で話せる割合】
全く本音で話していない 41.6%
2割未満 9.6%
2~4割未満 15.1%
4~6割未満 13.2%
6~8割未満 10.9%
8割以上 9.6%
【チーム内の会議・会話機会のうち本音で話せる割合】
全く本音ではなしていない 43.0%
2割未満 9.1%
2~4割未満 14.5%
4~6割未満 13.4%
6~8割未満 10.3%
8割以上 9.7%
本音で話せる相手は、職場内に「1人もいない」が50.8%で、他の選択肢と比べ圧倒的に高くなった。本音で話せる相手の性別・年齢は「同年代の同性」が43.6%だった。
【本音で話せる相手 トップ7】
1人もいない 50.8%
同年代の同僚 25.6%
上司 16.4%
先輩 15.7%
後輩 12.9%
他部署の同僚 12.1%
その他の仕事関係の知人 9.6%
【本音で話せる相手の性別・年齢】
同年代の同性 43.6%
年上の同性 26.2%
年下の同性 13.0%
年上の異性 9.3%
同年代の異性 4.5%
年下の異性 3.4%
パーソル総合研究所では、職場で本音を話すことで感じるリスクを6つに分類した。
①組織に愛着がないと思われそうという「裏切り者リスク」
②自分の評価が下がりそうという「低評価リスク」
③真剣に受け取ってもらえなさそうという「無関心リスク」
④意図しない範囲に広まりそうという「拡散リスク」
⑤自分の立場では言えないという「身分不相応リスク」
⑥相手との関係が悪くなりそうという「関係悪化リスク」
年代別に感じるリスクを見ると、「低評価リスク」は30~40代、「無関心リスク」は40~50代で特に影響していた。20代は「自分の立場では言えないことがある」といった「身分不相応リスク」、50~60代では「拡散リスク」が本音度を下げている傾向が見られた。
パーソル総合研究所では、「対話を促進したい組織は、こうしたリスクを感じさせない状態を構築することが必要になる」とした。
また、「組織内の対話の質を高めるには、上司へのトレーニング内容を簡易的にメンバーにも伝えたり、e-learning化したりするなど、全社的なメッセージ発信やトレーニングが必要」と指摘する。
調査は、2024年1月17日~22日、全国の20~60歳の男女・正規雇用就業者6000人を対象に実施した。
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