【産業医の採用】メンタル不調の“早期発見・早期予防”の担い手として採用の優先度が高い

【メンタルヘルス対策の現状と課題】復職支援は試行錯誤、問題を発見・解決する予防へ

ドクタートラスト
田野 優人 執行役員

【PROFILE】2014年 関西学院大学人間福祉学部卒業。ドクタートラスト入社。2017年 2017年度社内MVPを獲得。健康経営コンサルタントとしてこれまで700社超の企業健康管理体制の構築に携わる。また優良医師・専門職の人材確保にも尽力。2023年 一般社団法人産業医連盟事務局長就任。2024年 ドクタートラスト執行役員就任。

厚生労働省「労働安全衛生調査」によれば、1年間でメンタル不調による休職者が発生した事業所は全体の10%を超え、企業のメンタルヘルス対策は依然として重要視されています。このような背景を受け、休職を申し出た従業員に対して適切な対応が取れる、さらには休職・復職に関する体制(就業規則規定等)の見直しまで関与できるようなスキルを持った産業医は、転職市場で非常に人気があります。

また従業員、従業員の主治医、会社の3者間に入り込み、スムーズな調整が図れるコミュニケーション能力、労務問題への知見の有無も重視されています。さらに従業員との面談や、社内でのメンタルヘルスセミナーなどを通じたメンタル不調の“早期発見、早期予防”の担い手としての役割は、優先度として高い状況が続いています。

一方、求職者である産業医の動向を見ると、産業医科大学出身者などを除けば、かつては十分に臨床経験を重ねた50 ~60代の医師が「セカンドキャリア」として産業医業務に携わるキャリア形成が主流だったのに対し、昨今では、医療機関に勤務しながら中小企業の嘱託産業医(顧問医)を複数経験したのち30代半ばで産業医として独立する例も少なくありません。こうした方々は業務や研究へのモチベーションが非常に高く、結果として数年単位で転職、さまざまな業界での経験を重ねる特徴を持っています。

働く人の多様化が進んでいることから、産業医の新たなキャリアパスに呼応するように、企業でも幅広な経験を持つ人材の採用に意欲的な傾向が見られます。もちろん優秀な産業医の採用、定着を図るにあたっては報酬や雇用形態など条件面での厚遇は欠かせません。加えて求職者は、会社の「健康経営」に対するスタンスを求人応募時の一指標としています。

産業医をCHO(Chief Health Officer/健康管理最高責任者)のポジションで受け入れる企業も出てきているなど、社内における産業医の地位向上や経営層との対等な関係性構築も採用成功においては重要なポイントです。

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