コーチ・エィ
鈴木 義幸 代表取締役 社長執行役員
【PROFILE】慶應義塾大学文学部人間関係学科社会学専攻卒業、マッキャンエリクソン博報堂(現マッキャンエリクソン)に勤務後、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。帰国後、有限会社コーチ・トゥエンティワン(のち株式会社化)の設立に携わる。2001年、法人事業部の分社化によるコーチ・エィ設立と同時に、取締役副社長に就任。2007年1月、取締役社長就任。2018年1月より現職。
人は、どうすれば動くのでしょうか。
私は四半世紀以上、コーチとして企業のエグゼクティブやマネジャーと接しています。コーチングは、問いを投げかけ、それを考えるプロセスの中で、行動に対する「意味づけ」を引き起こし、その人が目的地へ前進するのをサポートします。
自身で「意味づけ」した行動は、他人から「ああしろ、こうしろ」と言われて起こした行動よりも、現実化する可能性が高いといわれています。
ただ、目的地が決まり、その人が動き出したとしても、目的地にたどりつくには持続的なエネルギー供給が必要です。コーチングでは、そのエネルギー供給のことを「承認(アクノレッジメント)」といいます。
「承認」とは、「私はあなたの存在をそこに認めている」と伝える全ての行為、言葉を指します。そう聞くと「ほめることだろうか」と思われるかもしれませんが、「承認」は「ほめる」だけでなく、声をかける、挨拶するといった何気ない日常のやり取りも含みます。
人は太古から、協力関係の中で生き延びてきました。誰もがひとりだけで生き抜くことはできず、生存本能として、自分が協力の輪の中に入っているかを気にします。だからこそ、ビジネスやスポーツの世界、家族の関係の中でも、誰しもが「あなたがいると、気づいているよ」と伝えて、不安を取り除いてくれる人を求めます。そして、そういった人に対して私たちは絶大な信頼を寄せるのです。
本書では、「承認」の種類や手法はもちろん、相手のコミュニケーションタイプによって「効いてくる」アクノレッジメント、若手・年上部下・上司などの相手の立場に合うアクノレッジメントなどを具体的に紹介しています。
また、リモートワークを含む様々な働き方の浸透、人材の多様性、ハラスメントへの注意など、今の環境に対応したアクノレッジメントの方法も紹介しています。
本書を手に取ってくださった全ての方が、チームメンバーをはじめ仕事で関わりを持つ人に、さらには家族の方に、エネルギーを供給し続けられるよう、お役にたてれば嬉しく思います。
鈴木義幸 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1,700円+税
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