人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾 裕社長)がまとめた「転職市場予測2025上半期」によると、2025年上半期の転職市場は、15分野のうち13分野で求人数が増加または好調を維持する見通しとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
2025年上半期の転職市場全体における求人は、15分野(7業種、8職種)のうち、11分野で求人が「増加」、2分野で「好調を維持」が予測されており、引き続き転職の機会が広がる見込みとなっている。
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パーソルキャリアは、主な要因について「労働力不足の問題が深刻化する『2040年問題』を見据えた採用や、業務効率化や分担化などの働き方改革推進による時短社員やDX人材の採用ニーズが向上している。また、新規事業や事業拡大に向け、十分な知見や経験を持つ人材の中途採用に注力する企業が増えている」と指摘する。
日本人材ニュースが、企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象に実施したアンケート調査でも、2025年の企業の中途採用数は「増加(50%)」「やや増加(38%)」となっている。
パーソルキャリアの調査で業界別の動向を見ると、IT・通信業界では、DX推進に加え、「2025年の崖」問題への対応が急務となっている。システムの老朽化が進む一方で、基幹システムのIT技術者が定年退職を迎えることから、エンジニア職の需要が一層高まると予測されている。
電気・機械エンジニア職では、自動車業界のEV化や半導体ビジネスの拡大に伴う需要増加。また、販売・サービス業界においては、インバウンド対応に伴う店舗拡大や、テイクアウト・宅配市場の拡大による人員増強の動きが加速すると見込まれている。
売り手市場が継続する中、企業間の人材獲得競争はさらに激しさを増しており、企業は採用活動の強化だけでなく、社員の定着率向上に向けた取り組みにも注力する必要がある。
パーソルキャリアは具体的な施策として、「残業時間の削減や業務分担によって社員の一人ひとりの負担を軽減させる」職場環境の整備や、「入社後ギャップを防ぐために先行段階から丁寧な説明やフォローを行い、必要に応じて職場見学やカジュアル面談を導入する」選考段階からフォロー強化施策などを挙げている。