仕事の専門性を磨きたい20代が過半数、管理職や次世代リーダーの育成が課題に

教育研修・就職支援事業のジェイックの調査によると、過半数の20代の社員は仕事の専門性を磨きたいと考えていることが分かった。成長意欲のある若手社員のキャリアを支援する定着・活躍のための施策が持続的な企業成長のために欠かせなくなっている。(文:日本人材ニュース編集部

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ジェイックの就職支援サービスを利用して正社員就職した20代の社員に「仕事における10年後の理想の姿」を聞いたところ、「仕事の専門性を磨いて、その部門で活躍したい」(56.6%)が最多だった。

回答者からは「専門性を磨き会社に貢献したいから」「まずは自分の仕事を完璧にして、役割をしっかり果たしたいから」「代わりが効かない人材になり、会社や社会に必要とされたいから」などの頼もしいコメントが見られる。

こうした若手社員を支援するために、自律的なキャリア形成を促す選択型の研修を増やしたり、業務に直結するスキルを獲得するためのトレーニングを拡充する企業が増えている。

大手エンジニアリング会社は新人に対し、OJTとOFF-JTを駆使しながら将来の事業成長をけん引する人材の高度化に注力している。育成状況については各部門の育成責任者が面談などを通じて把握するとともに、自らのキャリアを中長期的な視点から考えさせて、自律的に投資するよう促している。

また、「自分にしかできない仕事をしたいと思うから」「手に職をつけて、将来の不安をなくしたいから」「専門性を磨けば、いざというときに選択肢が広がると思うから」などのコメントからは、専門性を高めることによって主体的にキャリアを選択できるようになるという考えも見られる。

実際に、転職市場では高度専門人材に多くの企業からオファーが集中して奪い合いとなっている。

「部下をもち、チームマネジメントや育成にたずさわりたい」との回答も20.6%あった。「自分が吸収したものを後輩たちに伝えて、会社も自分もより成長していきたいから」「自分がしてもらったことを、未来の後輩にできるようになりたいから」など、会社や後輩とともに成長していくことにやりがいを見出している人もいる。

管理職になりたがらない社員が増えているという調査などが見られる中、管理職を目指す人材は貴重で、特に人的資本情報として開示が求められるようになった女性管理職の育成は課題だ。

「社長や役員になり、会社の舵取りをしたい」(2.9%)と回答した人は少ない。経営を担うイメージがまだ見えていない可能性も高いが、次世代リーダーの確保はいつの時代も企業の最重要テーマで各社は力を入れている。

三菱ケミカルホールディングスで役員を務めたコーチ・ジネッツ代表の吉里彰二氏は、年間500回近くのコーチングを経営者や人事責任者から依頼されている。「以前は、社内の誰もが認める実力を持ち、本人の覚悟も十分になった段階で経営幹部に任命していましたので『育てる』という考えは薄かったと思います。しかし人が減っていく時代に入り、リーダーの候補者は限られ、有力候補が転職してしまうケースも出てきました。そのため、役員候補や新任部長にコーチを付けてリーダーとしての覚悟を持たせ、役割を果たせる人材に鍛えてほしいと考える経営者が増えています」と話す。

仕事における10年後の理想の姿を実現させるために、「行動している」と回答した若手社員は49.3%だった。どのようなことに取り組んでいるかを聞いたところ、「資格取得のために勉強している」「知識習得に必要な本を読んでいる」「上司がどんな時にどんな行動をしているのか観察している」「目標から逆算し、毎日2時間作業時間を確保している」などが挙がった。

一方で、半数以上の若手社員が「行動できていない」と回答しており、調査を行ったジェイック執行役員の東宮美樹氏は「企業側は、定期的な1on1やキャリア形成に関する人事施策を通じて、個々のキャリアアップに向けたアクションプランの作成・実行支援を早期から実施することが大切」と解説している。

「10年後のキャリア観(仕事における理想の姿)に関するアンケート調査」の詳細はこちら
https://www.jaic-g.com/news/pressrelease/250128/

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