エイチ・アール・ディー研究所
吉岡 太郎 開発チーフディレクター・HPI コンサルタント
管理職向けの階層別教育は、戦略・リーダーシップ論、経営・財務といった知識や、部下の労務管理や目標管理制度の運用などが中心です。一方で、上司・管理職に求められているのは「組織の仕事を完遂させること」ではないでしょうか。そして現場で必要とされるのは、部下とのコミュニケーションです。
本書では“部下との一対一のコミュニケーション”を面談と定義しました。例えば評価面談のようなオフィシャルなものから、自分の席で声を掛けられたりする、いわゆる報・連・相なども面談の一つと考えています。
こうした面談の機会は、日常の業務の中に多く存在していますが、残念ながら十分に活用できているという人は少ないようです。多くの人は「自分はこのように上司に接してこられた」という経験から、部下に接しています。しかし、現在の部下たちは、多様な価値観や経歴を持っており、「今までのやり方」で上手くいくとは限りません。
面談のポイントをきちんと学ぶことで、部下のモチベーション向上や、トラブルの低減、部下を自ら考えられるように導けるといった、様々な効果が期待できます。これにより部門の生産性も高まり、上司自身のマネジメント力の向上にも役立つでしょう。
本書は、様々な業種・職種・職級の研修で収集した言動データと、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションなどの理論から、効果が高く実践しやすい内容を厳選しました。また理論を学ぶだけでなく、ケーススタディーやワークシートなど、「自分ならどうするだろうか?」と考え、計画が立てられます。
部下を育てるPDCAはシリーズとして、2018年12月に「業務指示・指導・OJT」、19年1月に「目標管理」を上梓しました。部下を持つ上司の必携の書として、お役に立てれば幸いです。
吉田繁夫・吉岡太郎 著
同文館出版、1,800円+税
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