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ヴィジェイ・ディオール 代表取締役
ライフサイエンス業界では、臨床開発、クリニカルリサーチといった専門人材の採用に積極的です。また、製薬メーカーがアウトソーシング化を進める中で、CSOやCROなどの採用意欲も旺盛です。
特に、メディカルアフェアーズなど、学術的な知識を持ち高いコミュニケーション能力で医師と対等に会話ができる人材の採用ニーズが非常に高まっているものの、人材は枯渇しています。その他、新薬の薬事申請を行う安全情報管理業務などからも人材を求める声が寄せられています。
ただし、企業が提示する条件は高く、年齢や転職回数制限、安定した職務経験を持ち、メディカルやバイオに関する知識と高いコミュニケーション能力が求められます。一方、語学力は職種によって取引先との会話で英語が必要でない場合は必須ではありません。
日本人の転職希望者が海外の人材と大きく異なる点として給与以外の要素にこだわる面があります。勤務地、会社規模、役職、将来性、そして家族からの印象などを全て考慮し、転職すべきかどうかを見定めます。
また、狭い業界であるがゆえに、知人、友人からの口コミや評価を重視し、マイナスな意見が多い場合には、例え給与アップが見込まれる転職であっても慎重な姿勢を示す人材が多い傾向にあります。
企業が採用を成功させるためには、求職者の転職先への条件に理解を持つことです。また、若い人材が欲しいというのが本音であったとしても、少子化に伴い、若年層は奪い合いの状態であるため、多少年齢の幅を広げるなど、選考条件の緩和を行うことが採用成功の明暗を分けると言えるでしょう。
次に、採用企業が紹介会社と採用という共通の目的に向かって共働していくことが採用を成功させる秘訣であると思います。
例えば、採用部門の決裁者と紹介会社側が情報交換をする場を設け、会社の長所や強みを深く理解してもらうことで、エージェントにもっと求職者に対する有効な情報を伝えることにもつながり、結果的に優秀な人材と出会える可能性は高まっていくものと考えます。