ジェイ エイ シー リクルートメント
佐原 賢治 海外進出支援室 室長
本書は、人事戦略、労務管理や入管手続きなどに携わる管理職や実務家の方々向けに、3人の人材採用の専門家がそれぞれの知見を生かし協力して書き上げたものです。
2019年4月に行われた入国管理法の改正は、その議論の段階から今に至るまで、多くの方々の耳目を集める一大関心事となっています。特に、高齢化や人口減少に伴う労働人口の減少、すなわち「人手不足」によって事業の継続が危ぶまれる製造業やサービス業など、さまざまな業種で外国人材の受け入れは目に見えて進んでいます。
一方、「人手不足を外国人材で補う」という文脈には、さまざまな意味でひずみが生じかねません。最低賃金の対象外である技能実習生を安価な労働力と捉えて不当な条件で作業に充てることはさまざまな社会問題をもたらします。一方で、彼(彼女)らの真の能力や市場価値を見誤る企業は、いくら募集しても候補者が集まらず、また折角採用した人材が早々に退職してしまうことも少なくありません。
本書は、未来ある外国人材を、海外事業展開や国内での持続的成長を行う上で欠かせない仲間として迎え入れ、相互にフェアな関係性を築くことでお互いに発展していくことを望み執筆しました。
私が担当した第1編「外国人材の採用と活用」では、当社が関与した数多くの外国人材採用や独自のアンケート調査結果をもとに、各社が外国人材を求める背景や期待、さまざまな募集手段とその特徴、また募集、受け入れ、マネジメントの各段階においてネックとなる事柄とその対策などについて記しました。
外国人材の採用はある日突然トップの一声によって始まります。そこから準備を始めていては、出だしが一歩遅れてしまいます。また、過去の失敗から「外国人材はダメ」という固定観念に囚われているケースもよく見られますが、外国人材が活躍している企業も初めからうまくいっているわけでは決してありません。
何度かの失敗ののちに自社に最も適合した外国人材の受け入れ、マネジメントスタイルを確立した企業の取り組みを少し覗いてみる。そんな観点で本書を手に取っていただけますと幸いです。
杉田昌平・五十嵐充・佐原賢治 共著
日本法令、2,800円+税