2023年新卒採用で計画以上の内々定者数を確保している企業は1割程度にとどまっていることが、東京商工会議所(東京・千代田、小林健会頭)が実施した「新卒採用・選考活動動向に関する調査」で明らかとなった。
2023年新卒採用の計画人数に対する2022年9月末時点での実質的な内々定者数(内々定を出した学生から辞退者を除いた人数)の割合(充足率)をみると、計画以上の内々定者数を確保している企業は12.4%にとどまる。
充足率が50%未満の企業が4割弱(36.9%)を占めており、内々定者がいない(0%)の企業は1割(11.5%)だった。東京商工会議所では「企業が新卒採用に苦戦している様子がうかがえる」と指摘する。
【2023年新卒採用の計画人数に対する充足率】
充足率「0%」 11.5%
充足率「1%~29%」 12.4%
充足率「30%~49%」 12.9%
充足率「50%~69%」 24.0%
充足率「70%~99%」 26.7%
充足率「100%」 7.8%
充足率「100%超」 4.6%
2022年新卒採用・選考時と比較した2023年新卒採用・選考人数の増減について聞くと(各項目単一回答)、「インターンシップ・職場体験の参加人数」に関しては、38.1%の企業が「増加」と回答し、「減少」の19.4%を上回っている。
一方、「会社説明会(リアル)」、「エントリー数」、「選考応募者数」、「内定者数」に関しては、「減少」と回答した企業がいずれも4割台であり、2割前後にとどまる「増加」を大きく上回っている。
【2022年新卒採用・選考時と比較した2023年新卒採用・選考人数の増減】
インターンシップ・職場体験の参加人数 増加38.1%:減少19.4%
会社説明会(リアル)の参加人数 同18.1%:同47.0%
会社説明会(オンライン)の参加人数 同31.6%:同29.9%
エントリー数 同22.8%:同41.8%
選考応募者数 同20.8%:同43.2%
内定者数 同25.9%:同40.0%
内定辞退者数 同36.8%:同21.6%
若年者を含む有為な人材の確保・定着に向けた取組を尋ねたところ、直近3年間に実施した取組について、「初任給の引上げ」は約5割(47.5%)となった。
加えて、「全社員を対象とした賃上げ」、「賞与、手当の引上げ」、「福利厚生の充実」についても3割強から5割強に達している。
今後の動向について東京商工会議所では、「多くの企業は若年者を含む有為な人材の確保・定着に向けて、処遇面の充実に努めている(努めようとしている)ことがうかがえる」とした。
【処遇面の充実に向けた取組(各項目単一回答)】
●初任給の引上げ
直近3年間に実施した取組 47.5%
直近3年間に実施していないが、今後実施したい取組(実施予定を含む) 32.9%
直近3年間に実施しておらず、今後実施する考えや予定もない取組 19.6%
●全社員を対象とした賃上げ
直近3年間に実施した取組 42.5%
直近3年間に実施していないが、今後実施したい取組(実施予定を含む) 36.5%
直近3年間に実施しておらず、今後実施する考えや予定もない取組 21.0%
●賞与、手当の引上げ
直近3年間に実施した取組 35.2%
直近3年間に実施していないが、今後実施したい取組(実施予定を含む) 41.1%
直近3年間に実施しておらず、今後実施する考えや予定もない取組 23.7%
●福利厚生の充実
直近3年間に実施した取組 53.0%
直近3年間に実施していないが、今後実施したい取組(実施予定を含む) 35.6%
直近3年間に実施しておらず、今後実施する考えや予定もない取組 11.4%
調査は、2022年9月29日~10月7日、2022年度 第2回「会員企業と学校法人との就職情報交換会」(9月29日開催)の参加企業278社を対象にWebアンケートシステムを利用して実施し、219社の回答を得た。