人材採用

【2025年度 新卒採用必勝法】採用活動終盤で心掛けたい3つのポイントとは 年間を通して常に採用に臨める体制に【第3回】

労働人口が減少するなか、企業における人材獲得競争はますます激化しつつあり、新卒採用も一段と厳しさを増しています。企業の採用課題の解決を支援するYouth Planet堀田誠人代表に25年卒採用を成功に導くためのポイントを3回に分けて解説してもらいます。
第3回となる今回は、後期選考(24年12月まで)での戦い方についてフォーカスします。(取材・執筆・編集:日本人材ニュース編集部

Youth Planet
堀田 誠人 代表取締役

【PROFILE】大学卒業後、メガバンクに入社し法人営業に3年間従事。その後、人材紹介会社のシンガポール法人立ち上げメンバーとして転職。現地で人材紹介ビジネスのノウハウを学び、27歳でYouth Planetを起業。

【これまでの記事はこちら】
【第1回】「早期に優秀な学生が集まった」と思いきや大きな落とし穴、前倒しが加速する新卒採用を成功に導くポイントとは
【第2回】中期選考で学生の本音探しに疲れている人事担当者が激増、リアルを探る3つの施策とは

ポイント①内定者をどうやって入社までキープするか

新卒採用

近年の学生は複数社への内定承諾は当たり前になっています。
それでも、ほとんどの人事担当者は「内定承諾者をなんとか入社までキープしたい」と思っているはずです。

といっても、内定者を上手く入社までキープできている企業は多くはなく、本当に難しい時代になって来たというのが、私たちの結論です。

もっと言えば、内定者キープに神経をすり減らし、必要以上に工数を掛けるべきなのかという疑問すらあります。
もはや、労力と見合わなくなっているからです。

それにも関わらず、内定者に多くの課題を出したり、内定者が集まる機会を増やすなどして、あの手この手で他社への乗り換えを考える時間を奪っていく手法が目立ってきています。

なかには、強引な引き留め施策もあったりします。
行き過ぎてしまうと悪い口コミにつながるリスクがあることを理解しておかないといけません。

困るのは、強引な引き留め施策を促してくるのが、人事部門の管理職であったりするケースです。
昔の採用スタイルを踏襲しているので、今の採用現場の大変さを理解しておらず、「何人採用できたのか」と数字しか興味がなかったりします。

上司の視点を変えるためにも、人材紹介会社とのミーティングへの参加を呼びかけ、今の採用市場をわかってもらうのが良いと思います。

「内定者同士のつながりを深めるというのはどうでしょう」という質問も、人事担当者から良くいただきます。
これも、一概に良いとは言い切れません。

なぜなら、悪い方向にもっていこうとする内定者がいたりするからです。
例えば、1人が会社に対してネガティブな発言をすると、周りもつられてマイナス感情になるというケースがありました。

そのため、過度な内定者同士の集まりはやらないようにしている会社も珍しくありません。もし、内定者のコミュニティーを作るのであれば、学生だけに運営を任せるのではなく、人事担当者も入り込みしっかりとコントロールしていく必要があるでしょう。

効果があるのは、先輩社員やリクルーターなどが内定承諾者と主体的に接点を持つことです。良きお兄さん、お姉さん的な存在で入社までを伴走してあげると内定承諾者に心強さを感じてもらえるはずです。

ポイント②最後不足している母集団をどう集めるか

後期選考の時期になってくると、採用目標数との格闘を余儀なくされる人事担当者も少なくありません。

特に近年は、「どうしても目標数にいかない」「何か手立てはないか」と悩まれる姿が多く見られます。
やはり、最後の最後になれば、即効性のある施策は人材紹介会社に依頼するしかありません

そうなったときに、人材紹介会社とどのように付き合うかが問題です。
なぜなら、「もう少し付き合い方を変えたら、上手く動いてもらえるのになあ」と思ってしまうことがあるからです。

後期選考に差し掛かってから、いきなり人材紹介会社に依頼してももう遅いため、普段から継続的な付き合いを検討しておかないといけません。

フィーを上げるというのは1つの方法ではありますが、どの会社も新卒向けの採用予算にはあまり余裕がないはずです。できれば、フィー以外で人材紹介会社良い関係を築くことを考える必要があります

私から提案したいのは、以下の3つです。

時期をコントロールする

早期から人材紹介会社を利用されている企業も多数あります。なかには、「どんどん送ってほしい。今年はすぐに採用を終わらせたいんです」とばかりに、発破を掛けてくる人事担当者もいたりします。

その割には、あまり内定が出なかったり、内定は出ても承諾率が低かったりすると、後半には人材紹介会社から、「この会社に送っても決まらない」と思われて見放される可能性があり得ます。

最後に一番学生を送り込んで欲しいタイミングで、どの人材紹介会社も付き合ってくれないということにならないよう、時期をしっかりと見極める必要があります。

学生のレベルをコントロールする

人材紹介会社に対して、自社が求める学生のレベルや求める人材像をしっかりと伝えておくことは当然ですが、採用の状況や時期に応じて、欲しい学生のターゲットを変えていくことも重要です。

しかも、どう変えるのかも人材紹介会社と共有しておかないといけません。
そうでないと、当初から設定されていた高いレベルのままだと勘違いしてしまい、「この時期に条件に合ったレベルの高い学生はいない」と思われ、一切動いてくれなかったりします。

リレーションをコントロールする

人事担当者も多忙なので、人材紹介会社とじっくりコミュニケーションを図るのは難しいかもしれません。それでも、結局は人でつながっているのが人材業界なので、定期的にミーティングを開催し、関係性を築くことをお勧めします。

リレーションが構築されていれば、最後に本当に厳しいときに優先的に人材を回してくれることもあるからです。

以上の3点に共通して言えることは、人材紹介会社を外部のベンダーではなく、戦略的なパートナーとして位置づけているかどうかです。それをしっかりと理解されている人事担当者は、人材紹介会社との付き合いが上手だと思います。

ポイント③採用活動をやり放しにしていないか

採用活動が終了したらやり放しにせず、振り返りをしっかりと行い、翌年度につなげていくことが大切です。

至極当然のことではと思われた方もいるかもしれませんが、実は何も残していない、担当者が代わってしまったら何もわからないという会社が少なくありません。

以下の3つの項目について振り返ることを推奨します。

当たり前の徹底。 数字を整理する

「新卒採用は変化が激しいので、前年度の数字がどこまで参考になるのか」という声も聞かれます。それでも、数字をストックしておくことは重要です。
できれば、プロセスごとに定量的な数値を把握しておくことをお勧めします。

具体的には、以下の数値が想定されます。

1.認知(サイト等の閲覧数、説明会申込数など)
2.育成(説明会着席数、選考者数、選考歩留りなど)
3.決断(内定数、SNSやネットでのシェア数、いいね数など)

これらの数字を数年単位で並べていくと、見えてくるものがあります。

それこそ、今の学生に何が刺さって何が刺さらなかったのか、どの担当者が面接すると承諾率が高いのか、どの流入経路の数字が良いのか、何月に説明会に参加した方が承諾に繋がったのかなども確認できます。

セグメントを切る

全体の数字だけではなく、会社独自のセグメントから数字を算出することも大切です。

例えば、内定者に占める体育会系やグローバル人材の割合を算出したり、内定者の特性を名詞で分類するだけでなく動詞で分類するのも良いのもアイデアです。コツコツ取り組む系、周りを巻き込む系など、さまざまな切り口があると考えられます。新しい発見もきっとあるはずです。

こうしたセグメントの切り方ができるかどうかは、人事担当者の上手さであり、実力の差が出るところだと言って良いでしょう。

どんな動詞にしたら良いのか悩まれる方は、内定者や実際に入社した社員のアンケートシートやインタビューでのコメントをテキストマイニングしてみるのも一つの方法です。

社内外パートナーとの振り返り

求人媒体や人材紹介会社、リクルーター、面接官、内定者など、社内外のパートナーと一緒に採用活動を振り返ってみることも良い施策です。

アンテナを高くして、ミーティングを重ねていけば、多くの気づきが得られます。「こんなツールを使っていたのか」「このSNSをチェックしていたのか」など、意外な情報に出会えたりします。

数字には現れない採用での違和感を感じ取るためにも、ぜひ行っていただきたいです。

連載を終えて

今や新卒採用はスパンがかなり長期化しており、従来のような半年のイベントではなくなりました。また、新卒と中途の垣根も徐々に消えている気がします。
それだけに、年間を通して常に採用活動に臨める体制にしておくことが大事になっています。

私たちの言葉で言えば、「採用の循環を作る」ということです。

人的資本経営が叫ばれる今、人材を切り捨てるような採用の仕方ではなく、会社の資産や評判、ブランドを作っていくための採用活動をしていただきたいです。
それを実践していただける人事担当者が増えていくことを願っています。

「3年後自社がこうなるために、採用のあり方をこう変えていきたい」。

当社としてもそんな人事担当者の熱い想いを共有できる人材紹介会社でありたいと思っています。

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