人材採用

【2025年度 新卒採用必勝法】中期選考で学生の本音探しに疲れている人事担当者が激増、リアルを探る3つの施策とは【第2回】

労働人口が減少するなか、企業における人材獲得競争はますます激化しつつあり、新卒採用も一段と厳しさを増しています。企業の採用課題の解決を支援するYouth Planet堀田誠人代表に25年卒採用を成功に導くためのポイントを3回に分けて解説してもらいます。
第2回となる今回は、中期選考(24年6月まで)での戦い方についてフォーカスします。(取材・執筆・編集:日本人材ニュース編集部

Youth Planet
堀田 誠人 代表取締役

【PROFILE】大学卒業後、メガバンクに入社し法人営業に3年間従事。その後、人材紹介会社のシンガポール法人立ち上げメンバーとして転職。現地で人材紹介ビジネスのノウハウを学び、27歳でYouth Planetを起業。

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【第1回】「早期に優秀な学生が集まった」と思いきや大きな落とし穴、前倒しが加速する新卒採用を成功に導くポイントとは

リアルな学生の動きや気持ちを知る工夫が必要

選考を進めていく中で、人事担当者が最も悩んでしまう課題は「学生の気持ちの変化をどう把握するか」ではないでしょうか。そのためにどうやって情報を拾い、どう選考に活かしていけば良いのか。幾つかのポイントを挙げたいと思います。

まずは、前提としてですが、人事担当者の皆さんは学生の気持ちを把握するために何をされていますか。ついつい数字だけを並べていませんか。母集団をこれぐらい作れば、歩留まり率がこうだから一次選考にはこれぐらい残る。それが二次選考だとこのぐらいに絞られ、最終選考ではこうなるのではという目標の立て方をされている方が多い気がします。

恐らく各段階の歩留まりは、これまでに培った数字をベースにされていると思います。しかし、今や昨年対比の数字は本当に意味がなくなってきています。学生が就活を始めるタイミングでさえ毎年大きく変わってきていて、去年まで使っていた数字が参考にならないでしょう。

学生はちょっとしたきっかけで会社への志望度を高めたり、逆に下げたりします。

そのため、リアルな学生の動きや気持ちを知るための工夫をしないといけません。

本音と建前を使い分ける学生といかに向き合うか

まずは、面接そのものを見直してみましょう。やはり、面接は学生の気持ちを把握するには最適な場です。ただし、大切な場であるからこそ、人事担当者として面接で気をつけなければいけないことも多々あります。しっかりと守れているという自信をお持ちですか。意外とNGになりうる質問や対応をしていたということがないでしょうか。

現在の就活は学生が企業を選べる立場になっています。しかも、企業選びが減点方式になっている側面があります。

実際、当社にこの一年以内に寄せられた声の中には、以下のような内容が見受けられます。

「家族関係の質問をされたので志望度が落ちました」
「Web面接の中で面接官がPCを触ったり、カメラを見てくれず志望度が下がった」
「Web上にある企業の口コミの悪い部分に関して全く触れようとしなかった。怖いので内定を承諾しないつもりです」

年々SNSやWebで学生が目にする情報が増えており、価値観の変化や売り手市場も相まってこうした事例が増えています。学生は本音と建前を使い分けるため、選考中には上記のように感じていても、表情や口には出さないで複数内定をもらってから、減点方式で企業選びをしています。それだけに、人事担当者からすると学生の本音がどこにあるのか分からなくなっているという声も増えています。

一方で、学生からは「人事担当者に自分の気持ちが本音であると思ってもらうためにどうすれば良いのか悩んでいる」という相談も多数寄せられています。実際にいただいた声の一例をご紹介します。

「複数の業界を受けているため、それを正直に言うべきか言わないべきか悩んでいます」
「最終面接で、自分の想いを伝え切れるか心配です」
「二次面接で熱意を持って話せません」

就活では、本音と建前を使い分けなくてはいけないと学生は理解しています。だからこそ「建前で良い顔をする学生ばかりの中でどう伝えたら、人事に志望度の高さを本音だと思ってもらえるか」と悩んでいる側面もあるようです。

人事担当者も自社の悪いことを隠したり、表面的な会話、建前での会話しかしないと、学生の本音で話したいという気持ちを拾うことができなります。自社の面接では、そういった側面がないか。中期選考を始める前に、改めて検証していただきたいと思います。

学生の気持ちを把握するための3つの有効施策

ここまでは面接でのポイントを解説しました。

さらに、もう一歩踏み込み、新たなアクションを起こしたい人事担当者に3つの施策を提案したいと思います。

SNSを活用し学生の声を拾い、採用戦術に活かす

一つ目が、LINEが提供しているコミュニケーション・プラットフォーム「OpenChat(オープンチャット)」などのSNS活用です。

それによって、学生の動きを把握し次にどんな手を打てば良いかを逸早く検討していけます。

実際、コロナ禍の頃には転勤ネガティブな学生がすごく増え、「OpenChat」上でも良くやりとりされていました。そうした声を拾い上げ、転勤のない職種やポジションを作ったり、地域決定を行うといった企業がありました。他にも、「月給が高いよりも家賃補助を希望したい」といった声が高まっていることに着目し、福利厚生の一環として導入した例も見られ、採用の戦術に活かしていくことができます。

さらには、就活イベントや就活メディア、就活向けの人材紹介会社も含めて、「どこが良いのか」という情報も拾えたりします。

リクルーターがもたらすメリットとは

二つ目が、リクルーターの導入です。

昨今大企業を中心にリクルーターを復活させる動きが高まっています。そもそも、リクルーター採用を行う意義は、学生の気持ちを把握することにあります。やはり、総じて採用を上手く進めている企業は、リクルーターを取り入れているという印象を受けています。

リクルーターを取り入れるメリットは、三点あると思っています。

第一のメリットは接点数の拡大です。
リクルーターを使うと学生と接点を持てる数が驚くほど違ってきます。本当に学生は気持ちの変化が早いので、会社説明会に参加する度に目移りしがちです。昔のように二度、三度の接点で学生の気持ちを繋ぎ止めておくことは、もはや困難になっており、その間に何回もリクルーターがコミュニケーションを挟まないといけなくなっています。大切なのは、接点時間よりも接点数です。それを意識していく必要があります。

第二のメリットは、学生の本音を引き出しやすいことです。
学生と年齢が近いリクルーターであれば尚更です。

第三のメリットは一緒に内定を勝ち取っていく達成感を作り上げられることです。
これが、最大のメリットと言って良いのではないでしょうか。
何故なら、学生は簡単に内定が取れてしまうと達成感を感じにくく、その会社に入社しようとしません。それだけに、リクルーターと共に努力をしながら、ようやく内定を得ることができたという感覚を演出することが大事になってきます。「次の面接官はこのポジションでこんな質問をしてくる。一度練習をしておこう」とリクルーターから声掛けされると連帯感が生まれ、内定獲得時の歓びが大きくなります。

内定者を次年度に向けた採用活動に巻き込む

お勧めの施策の三点目は、内定者インターンです。

狙いは、一番直近で就活している人たちを就職活動に巻き込んでいくことです。具体的には、次の年度向け採用説明会の作りこみを手伝ってもらうなどが挙げられます。これを既に行っている会社もあり、上手くいっているという声も聞かれます。その理由としては、自社の採用活動に関わると愛社精神が高くなるからです。これも良い手だと言えるでしょう。

次回は、後期選考での戦い方を解説します。
【第3回】採用活動終盤で心掛けたい3つのポイントとは 年間を通して常に採用に臨める体制に

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