人材採用

【2025年度 新卒採用必勝法】「早期に優秀な学生が集まった」と思いきや大きな落とし穴、前倒しが加速する新卒採用を成功に導くポイントとは【第1回】

労働人口が減少するなか、企業における人材獲得競争はますます激化しつつあり、新卒採用も一段と厳しさを増しています。企業の採用課題の解決を支援するYouth Planet堀田誠人代表に25年卒採用を成功に導くためのポイントを3回に分けて解説してもらいます。
第1回となる今回は、25年卒採用の動向と早期選考(23年12月まで)での戦い方についてフォーカスします。(取材・執筆・編集:日本人材ニュース編集部

Youth Planet
堀田 誠人 代表取締役

【PROFILE】大学卒業後、メガバンクに入社し法人営業に3年間従事。その後、人材紹介会社のシンガポール法人立ち上げメンバーとして転職。現地で人材紹介ビジネスのノウハウを学び、27歳でYouth Planetを起業。

多くの企業で「25年卒採用は早くから仕掛けたい」と採用計画を前倒し

まずは、24年卒採用の総括と25年卒採用の動向について解説します。

24年卒採用で顕著であったのは、活動時期がどんどん早期化していることです。企業は早くから動き出しましたし、学生たちも先輩の体験談を聞いて煽られていました。
当社が手掛けている新卒紹介事業も、従来は後半戦に売上が集中していたものの、近年は前倒しが進んでいます。
企業からすると、早い時期から採用活動に着手しないと良い学生がいなくなってしまうという危機感があるのかもしれません。

25年卒採用では、この傾向がますます加速すると思われます。
実際、多くの企業の人事担当者が「25年卒採用は早くから仕掛けたい」と採用計画を前倒ししています。
その中には、今までインターン選考を行っておらず、24年卒採用で厳しい結果になってしまった企業も多数含まれています。
それだけに、「インターン選考を始めている会社が本当に増えた」という印象があります。

ただ、学生からすると採用マーケットが堅調なので、気に入った会社があってもキープするのが当たり前になっています。なので、早期で内定を出したとしても採れない、採り切れないという現象が見られます。
従来ならば、時期を絞って動けば良かったものの、企業からすれば本当に通年採用を余儀なくされていると感じているのではないでしょうか。

早期選考でやるべき3つのポイント

では、そうした状況を見据え、人事担当者は早期選考で何をやっていけば良いのか。今回は3つのポイントを挙げます。

早期選考やインターン選考は「採用ブランド構築期間」

一つ目は、早期選考やインターン選考をいかに戦うかです。

採用活動の早期化が進んでいるだけに、これは採用活動を成功させるためのキードライバーと言っても過言ではありません。なので、早期選考やインターン選考は絶対にやるべきです。

最初から取り組んでいないと年間の流れも読めませんし、「今年は何か違うぞ」といった違和感にも気づくことができず、自社が本当に採りにいくべきタイミングを逃してしまいます。

ただ、気を付けなければいけないこともあります。目測を誤らないことです。
今までよりも早く動き出すと従来以上に優秀な学生と接点を持ちやすくなります。例年の歩留まりで考えれば、ある程度の母集団を作れたところで安心してしまい、「採用活動を早く終わらせても良いのでは」と判断しがちです。

しかし、この段階で驕りが出てしまうと、最終的には歩留まりが極端に悪くなってしまいます。なぜなら、早い時期から動き出す学生ほど企業の社格や採用ブランディングを重視するからです。「それに見合うレベルにある」と自信を持てる企業でなければ、採りにいったとしても採り切れないと予想されます。
これによって、「今年は優秀な学生が来てくれた」と言って、本来採れていた学生を母集団から外すことになると問題はより深刻になってしまいます。

このような企業にとっては、早期選考やインターン選考を「採用ブランド構築期間」として捉えることをお勧めします。
実は、就活を早く始める優秀な学生は採用マーケットのオピニオンリーダーでもあります。彼ら・彼女らから就活情報が拡散されていくので、その年の会社の評判を作り上げていくという意味でも抑えておかないといけません。ここを戦略立てて進めていく必要があります。

例えば、当社ではこの時期には直接的な採用のための説明会は行いません。自社の業界とは違う業界や職種を志望している就活生にも有益な情報を提供出来るように、市場価値の勉強会を開催しています。

ここでは、「そもそも市場価値とは何かを考えて就活をしよう」「第二新卒で市場価値を上げるためには何をしたら良いか」といった話をして、自社のPRは最後に気持ち程度にするだけです。勉強会が就活生にとって価値のある内容であればそれだけでも、応募者はかなり増えますが、母集団増加を目的にしないように気をつけてください。
KPIを設定するのであれば「優秀学生の参加率」「異業界や異職種を志望している就活生の参加率」「セミナーやインターンの満足度」に重きを置くことが重要です。
早期選考の時期に、優秀学生に有益情報を提供できるセミナーを実施することで、当社の評判を聞き更に就活生が集まるというサイクルが年間を通して継続するのです。

現状の就活マーケットでは、飛び道具は存在しません。「母集団は十分いるからもっと母集団の質を上げたい」「より良い採用ツールはないか」という発言をする採用担当者は多いですが、効率を重視するばかりで実際は手抜きになっているのが現状です。
しかも、学生はさまざまな要素を組み合わせて就職先を見極めようとします。色々な切り口を用意しておくことを怠らないようにする必要があります。

採用ブランディングの構築に向けて、SNS採用は不可欠

二つ目のポイントは、SNS採用をどのように行えば良いかです。

採用マーケティングや採用ブランディングを作り上げていく上では、SNS採用は切り離すことができません。
とはいえ、「万が一炎上したら怖い」「やり方も良くわからない」「面倒だ」「即効性がない」などの理由から足踏みされている会社も多いのではないでしょうか。実は、これはものすごく勿体ない話なのです。

本当に長期で採用活動を展開していくには、SNS採用が不可欠です。ここの目線を持つことがすごく大事になってきます。
これまではどうしても短期目標での採用になりがちでした。そうすると、KPIは何人採用するかだけなので、やることが増えていくばかりです。

では、何から着手していけば良いかと言えば、今選考の対象となっている学生への情報提供として活用することを提案します。その人たちに会社のことをもっと知ってもらうために使っていけば良いのです。
SNSのリンクを貼るだけでも良いです。そうすることで日常から接点を持ってもらえるのがSNSの良さであり、まずはそこから始めることです。

当社でも、SNS採用に取り組んでいます。
「新卒採用を行います」と1回投稿するだけで24時間で150人もの応募者が集まります。それぐらいの威力があるわけです。

Twitter上でも口コミがたくさん流れていきます。学生たちが当社のことをどんどん広めてくれるので、採用活動自体が楽になります。 しかも、日々発信していくことで相当なコンテンツが資産として残ります。それらが大きなパワーとなることを知らないとか、発信を怠ってしまう会社が多いのが残念でなりません。

長期的な施策作りを進めるためにも採用の外注化で余裕ある体制を

三つ目のポイントは、採用業務を外注化できないかです。

新卒採用は今や、年間通してになりつつあるとは言え波があります。本当に3月あたりは繁忙期で捌き切れず、人事担当者は疲弊しています。
どこかでフィルターを掛けるしかなく、結果的に機会損失につながってしまっています。こうなってくると、短期の目標しか追えなくなります。

採用ブランディングといった長期的な施策を打ちづらくなるだけに、採用業務を外注化していくことを検討するのをお勧めします。

その際に、「管理コストが増加するのでは」と懸念される人事担当者がいるかもしれません。
確かに、採用専門の外注業者に頼めばそれなりの値段になりますが、フリーランスの皆さんを巻き込みチームを組成していけば意外とコストを掛けずに外注化することができます。
また、どこまで外注化するかという問題もあります。ここは、会社によって違ってきますが、作業系となるノンコア業務は外注化していくのが大事であると思っています。

ますます難しくなっている新卒採用を成功へと導くには、長期的な戦略や施策が欠かせません。日々の業務ばかりに追われ、それらを作り上げていく時間が確保できていないのではないでしょうか。人事担当者の方々は自らにぜひ問いかけていただきたいと思います。

次回は、中期選考での戦い方を解説します。
【第2回】中期選考で学生の本音探しに疲れている人事担当者が激増、リアルを探る3つの施策とは

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