【著者が語る】M&Aを成功に導く人事デューデリジェンスの実務

マーサー ジャパン

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竹田 年朗 グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル

いまやM&Aは、成長戦略として当たり前に検討されるようになっている。特に海外企業に対する買収は活発で、すでに2010年9月23日時点で354件と、昨年の年間349件を越え、1~9月の実績としては過去10年で最高である。(トムソン・ロイター調べ)

デューデリジェンスは、買収監査などと訳される。つまり、買収の対象企業や対象事業の内容を精査し、その中身を確認し、問題や瑕疵がないかを調べ、適正な対価を査定することである。

大きな買い物をするのに、買おうとしているものの中身がいったい何なのか、それが本当はいくらの価値があるのか、気にならない人はいない。また、説明責任も果たさねばならない。そこで、買収を決める前には、必ずデューデリジェンスが行われる。

しかし、売り手は何でもすぐに情報開示してくれるわけではない。せっかく情報を出しても買い手が最終的に買わないかもしれないし、忙しいなかで対応にはおのずと優先順位がある。また、売り手としては出したくない情報があったとしてもおかしくない。このようにして、情報請求の段階から、せめぎあいが起こるのが、デューデリジェンスというものである。

本書は、デューデリジェンスの中でも、見落とされがちな組織・人事のポイントについて、丁寧に説明した実務書である。特に、クロスボーダーM&A(海外企業対象のM&A)については、日本の感覚や知識が通用しないことが多く、組織・人事分野においてもリスクが一段と高い。

さらに経営の観点から、事前に何を把握する必要があるのか、相互の優先順位をどう考えたらよいのか、把握した結果をどのように活用するのか、ということを常に考える必要がある。これらの観点を1冊で概観できるように編纂している。M&Aに関わる方、ご関心をお持ちの方に、ぜひお役立ていただきたい。

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竹田年朗 著
中央経済社、2800円

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