ヒューマン・アソシエイツ(現AIMSインターナショナルジャパン、A・ヒューマン)
渡部 昭彦 代表取締役社長
【PROFILE】東京大学卒業後、日本長期信用銀行入行。支店業務、中央官庁出向、国際金融部、本店営業部を経て、94年から2000年まで人事部に勤務。その後、日本興業銀行を経て、セブン-イレブン・ジャパン、楽天グループで人事責任者を歴任。その後ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(現MBK Wellness Holdings)代表に就任、2022年10月よりMBK Wellness Holdingsで顧問を務める。明治大学専門職大学院兼任講師。著書に『失敗しない銀行員の転職』「銀行員の転職力」(日本実業出版社)、『日本の人事は社風で決る』(ダイヤモンド社)がある。
銀行員は、優秀な人材が揃っているにもかかわらず、その能力が組織内で充分活用されず無駄になっているのではないか。ならば、行員一人ひとりが転職を視野に入れたキャリアプランを主体的に考え行動することが、本人は言うに及ばす、銀行、更には日本経済全体にとっても望ましいに違いない、と言うのが本書のテーマだ。
銀行は毎年新卒市場から優秀な学生を大量に採用し抱え込む。その後2-3年毎の人事異動を繰り返す中、銀行員はふるいにかけられ入行同期の間で順位付けされていく。40代半ば以降は、トップ層を除いて順次銀行の外の会社に出され、50歳を過ぎて本体に残っているのはほぼ役員だけという状況だ。
バブル崩壊後は、中堅・若手行員の自主的な退職による流動化も進展、経営トップ層も含め、銀行を定年で退職することは皆無に等しいと言っても過言ではない。実は終身雇用からは最も遠いところに位置する組織であったわけだ。
望む・望まないにかかわらず、転職を前提とした職業であるならば、自分の人生を会社、人事部に委ねるのではなく、進むべき方向を自ら進んで考えるべきだろう。
ではあらためて銀行員は本当に実力があるのだろうか、市場で評価される能力や技能は何なのだろうか。また、転職を含め今後の自身のキャリアを考える上で、何を軸にプランニングすべきだろうか。実際の様々な転職事例を踏まえながら、転職実践ノウハウも含め、幅広い観点から述べてみた。
私自身は、長く銀行に勤めその中で10年近くの人事部経験を持つ。また、事業会社に転じてからも人事関連の業務が多く、日本の会社の人事を様々な面から眺めてきた。そのご縁から現在は人材紹介会社の代表も務めさせて頂いている。
「銀行の人事とは一体何なのか」「その中で仕事をしている行員のメンタリティーは?」など、少し離れた立ち位置で見えてくる銀行の様相を、転職当事者だけでなく、人事業務に関わる方々にも広くお伝えできればと思うところである。
渡部昭彦 著
日本実業出版社、1680円