入社前の時点で新入社員の約2割は転職志向であったことが、全国求人情報協会が実施した「入社前調査」・「入社後追跡調査」で明らかとなった。しかし、入社後にはそのうちの約4割は勤続志向に転じている。
入社前調査で、新卒入社予定の企業・団体等への就業意識を聞いたところ、20.7%が入社前の時点で「転職志向」(「転職することも視野に入れている」「すぐに転職したいと思っている」の計)であった。
入社後調査で、入社後約半年経過時点での就業意識を聞いたところ、入社前に転職志向であった人のうち36.6%が「勤続志向」(「今の企業・団体でずっと仕事を続けたい」「当面は今の企業・団体等で仕事を続けたい」の計)に転じていた。
一方、入社前に勤続志向だったうち、入社後約半年時点で転職志向または離職に転じた人は、全体の21.8%となった。
入社予定の企業・団体等への就職活動開始当初の志望度と、その企業・団体等への入社前の就業意識について見ると、「当初から第一志望(群)だった」企業に入社予定であった人の84.9%は、入社前に勤続志向であった。
また、「第一志望(群)ではないが、当初から志望していた」人でも79.0%が、「当初は全く志望していなかった」人でも70.7%が、勤続志向だった。
就職活動開始「当初はまったく志望していなかった」企業・団体等に入社予定で入社前に勤続志向であった人が、就職活動を通して知ることができた情報について見てみると、回答者全体や入社前に転職志向の人に比べて、特に回答率が大きいのは「具体的な仕事内容」、「組織風土」、「従業員構成の男女比・内訳」、「勤務地」、「採用時の具体的給与・賞与額」、「有給休暇日数と取得状況」などだった。
入社後の就業意識変化に注目すると、入社前に勤続志向であった人のうち、入社後に「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」人の95.4%は入社後も勤続志向だった。
一方、入社前に勤続志向であった人のうち、入社後に「自分はこの会社に向いていないと感じた」人の64.6%は、入社後に転職志向または離職に転じていた。
入社前に転職志向であっても、入社後に「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」人の59.8%は、勤続志向に転じていた。
一方、入社前に転職志向であった人のうち、「自分はこの会社に向いていないと感じた」人の91.5%は、入社後も転職志向のまま、もしくは離職していた。
入社前調査は、2020年3月13日~29日、民間企業・団体への就職活動を在学中に経験した全国の大学4年生・大学院2年生1531人を対象にインターネットで実施。
入社後調査は、2020年10月16日~11月13日、第1回調査で「民間企業・団体等に就職する」と回答したうち、追跡調査に回答した人700人を対象にインターネットで実施。