20代の過ごし方で人生が変わることもあります。そこで、「早く一人前の社会人になりたい」と漠然と考えている人も、「将来出世したい!」と出世欲旺盛な人も、20代のうちに目を通しておくと日々の仕事が違って見えてくなるかもしれない、そんな本をご紹介しましょう。
道をひらく|松下幸之助 著
「松下幸之助」この人の名を知らない人は少ないでしょう。
旧松下電器産業(現パナソニックグループ)の創始者の名前です。
この本は、筆者の父の書斎に子供の頃からあり、筆書は就職活動の真っ最中に読みました。
「道をひらく」は、その名の通り、学歴も財産も何も無い松下幸之助が、夢を持ち続け、柔軟な発想でエンジニアとしての手腕とアイデアを駆使し、失敗しながらも運をつかみ、偉大な経営者になるまでのお話しです。
人との関係をとても大切にし、どんなに苦しいときも信念を貫いた生き方に筆者は感動しました。
現在とは違う、身分・財力・学歴が横行する時代に、その全てを持たない若者が、財閥をしのぐ大会社を築くのです。
先を読む力、常識を打ち破る柔軟な発想を持ち、それに加えて助けてくれる周囲に恵まれていた人だったと思います。
だから今現在、会社で失敗して落ち込んでいたり、仕事や人間関係で袋小路に追い詰められていたり、不運な自分の人生を諦めかけているような人にこそ読んでいただきたいです。
20代の多くの人は、同じ年の松下幸之助よりも少なからず恵まれた環境にいるはずです。
今の自分の状況を打開して向上させるための考え方のヒントを示してくれる本となるのではないかと思います。
思考を切り替えて、「今踏ん張れば、自分にも幸運が巡ってくるかもしれない」と思えるかもしれません。
思い込みやプライドが人生を狭めていることに気づく人もいるかもしれません。
時代がIT化して松下幸之助が生きてきた時代とは全く違っていますが、ビジネスパーソンとしての人のあり方の基礎は、昔も今も変わらないように筆者は思います。
新入社員になる前の、学生時代に読んで松下幸之助の言葉を胸に刻んで社会に出たら、社会人として周囲に群を抜くことができるかもしれません。
そして、若いときは松下幸之助の言葉をバイブルにしつつも、成功した暁には、自分の生き方にあったあなただけの名言を生み出してほしいと思います。
神様の女房|高橋誠之助 著
旧松下電器産業(現パナソニックグループ)の創始者の奥さん(「松下むめの」さん)の伝記のような話です。
松下幸之助夫妻の家に長年仕えた「最後の執事」と呼ばれる方が綴った本です。
むめのさんは、明治時代に生まれ、明治~昭和にかけて生きた女性で、親に言われたまま顔を見ることも無く見合い結婚するのが当たり前の時代でした。
むめのさんが、数ある縁談の中から、安定した暮らしの選択肢もたくさんあったのに一番条件の悪い電灯会社に勤める20歳の男性(松下幸之助)とのお見合いをわざわざ選んで嫁いだのです。
当時のむめのさんが、夫の夢に自分の人生をかけ、一緒に夢を叶えていく苦難の道を選ぶことにしたのは、理由がありました。
「これからの女性は自分で人生を切り開かないといけない」という奉公先の女将さんの言葉に感銘を受けたからです。
むめのさんは、女将さんに憧れ尊敬していたので、夫の夢を叶えるとい夢に立ち向かうことで、自分も人生を切りひらきたいと思ったのです。
そんな考え方は、その時代の女性にしては希有な最も発展的な自立した女性の考え方だったに違いありません。
松下幸之助の様々なエピソードの一つとして奥さんの話は有名です。
松下むめのさんは影の経営者だとも言われています。
時代背景のせいで表に出ませんが、当時の松下電器産業の誕生には、彼女の力も大きかったわけです。
男尊女卑の時代に、夫を動かし成功に導くのは、まさしくこの時代の女性の社会進出の新たな形だったのだと思いました。
現在の平成の時代は、むめのさんが生きた時代とは違って男女平等の世の中です。
でも、今の女性にも、結婚・出産・子育て・介護等々、人生の分かれ道として、仕事との両立を悩み選択をしなければならない事がたくさんあります。
セクハラ、マタハラといったハラスメントに立ち向かわねばならない社会問題もあります。
女性の幸せのあり方が多様化し、個人に委ねられるようになった男女平等の今の時代だからこそ、むめのさんのような女性の覚悟が必要なのかもしれません。
「女性として男性にも負けない仕事をしたい」と仕事にがんばっている20代の女性の方に、仕事での出世を成し遂げるための覚悟を貫く生き方の指標として、参考にしていただきたい一冊です。
マネジメント-基本と原則 |ピーター・F・ドラッカー 著
マネジメントの仕事は、実践し成果を出すために、十分に調査し、使命・目的・役割を決め、そのために中長期的な戦略を考え実行して、結果として成果に結びつけるものです。
この本は、マネジメントの基本を具体的に解説しているマネジメントの入門編です。
時代は移り変わり、状況も刻々と変わっていきます。
常識も時代背景も同様です。
それでも、マネジメントの基本は同じだとドラッカーは述べています。
皆が諦めている理想論かもしれませんが、視点をかえるだけで、物事の本質や原点に気づくことをわからせてくれる一冊です。
マネジメントの基本は、自分がどうなりたいか、どうしたいかをまずは明確にします。
それは非常に単純で簡単なことのように思いがちですが、新入社員や若手社員のうちは、案外わかっていない人が多いかもしれません。
何故そうなりたいのかをよく考えてみると、それは誰かの真似や誰かの希望であったり、現状からの逃げであったり、何となく流されるままであったりするかもしれません。
マネジメントの入門編で有りながら、実は自分を見つめ直すきっかけを作っていける一冊かもしれません。
ものの見方が変わって、仕事が楽しくなるきっかけの一冊と言っても過言では無いでしょう。
もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』をよんだら|岩崎夏海 著
ドラッカーの『マネジメント』の本質を理解し、現実社会でどう応用したら良いのかを、野球部の女子マネージャーの立場から書いた一冊です。
主人公の女子マネージャーが、「本を買い間違えた」と思ったとき、取り敢えず読んでみることから物語は始まります。
「取り敢えずやってみる」という柔軟な気持ちが20代には重要です。
20代は、社会人としても人間としてもまだまだ未熟ですから、「無駄かどうか」の判断も未熟です。
だから、「取りあえずやってみる・続けてみる」うちに、今までに無い新たな何かを発見し、経験し、その結果人生に大切な何かに気づけるのです。
「取りあえず続けてきた仕事」のある日、目から鱗の出来事に遭遇し、人生観が変わることも多いものです。
このお話は、2010年から2011年にかけてアニメ化・マンガ化・映画化もされ、たくさんの賞も受賞しました。
ドラッカーのマネジメントに活字から入っていくのが難しい人は、まずはこのアニメから入るのも良いのではないでしょうか?
そして新入社員の時に身につけた習慣は、その後習慣として身体が忘れません。
また、偉大な発明の多くは「やっていたら偶然できた」なんてことも多いのです。
「無駄」というマイナス思考で望んでいては何も得られませんが、プラス思考は何かを生み出します。
「転んでもただでは起きない」というような精神かもしれませんね。
起業や経営、マネジメント、社会貢献、政治、というと難しく高度な世界のような気がします。
しかしこれらの基本が、身近な日常にも当てはめて応用することができるのだということを気付かせてくれる目から鱗の作品です。
成功者は窮地でも柔軟な思考で運をつかむ!
筆者は仕事柄多くの企業の社長さんとお仕事をする機会がありますが、お話しして共通していると筆者が感じるのは、どなたも雑学が多く情報に敏感で、思考が柔軟であることです。
また、
「全く関係ない話も重要です。何が仕事の突破口になるかわかりませんから」
と仰った社長様がいて、当時の私には印象的でした。
偉大なことを成し遂げた人は日常の応用力が優れているのかもしれません。
だから、出世したいなら成功した人の本を読みましょう。そしてその思考パターンを自分なりの方法で盗むのです。
勝ち組の人生を歩んできた人も、負け組に転落したり、転落しないまでも一歩手前までいったことがある人ばかりなんですよ。
ただピンチをどう乗り切るかは、思考・洞察力・運をつかむことができるかどうかで決まります。
だからあなたも偉大な成功者の思考を学習し、どんなときもプラス思考でチャンスを逃さずつかみ人生に勝っていきましょう。