人事戦略とは?目的やメリットを紹介!成功に導くためのポイントも解説

人事戦略のイメージ

本記事では人事戦略に焦点を当てて、人事戦略の概要や戦略人事との違い、策定するメリットや手順などについて解説します。あわせて、人事戦略に有効なフレームワークや策定前に把握しておくべきこと、成功させるポイントについてもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

人事戦略とは?

採用・育成・配置・定着などの人事全般にまつわる業務を改善し、組織の生産性を高めるための戦略のことです。昨今は社会を取り巻く環境の変化が大きく、採用市場における企業間の競争も激しくなっていることから、人事においてもより戦略的な施策が求められています。

人事戦略と戦略人事は異なるもの

人事戦略と混同しやすい用語として「戦略人事」があります。人事戦略では、採用や教育など、「人事に直結する課題改善」を目的とする一方で、戦略人事では人事的側面から「経営目標の達成」を目指します。戦略人事の例としては、DX人材の積極採用や、DXに関する研修の実施、外部の人的リソースの活用などが挙げられます。

人事戦略の4つの構成要素

人事戦略は主に「採用」「育成」「配置」「定着」の4要素で構成されています。本章ではそれぞれの要素について詳しく解説します。

採用

人事戦略における採用では、どのような人材をどのくらい採用すべきなのか検討し、その目標を達成するための戦略立てを行います。具体的には、求める人物像にあわせて自社に適切な採用方法(新卒採用or中途採用)やブランディング方法を検討する必要があるでしょう。
【あわせて読みたい】
採用ブランディング6つのメリットと進め方 成功企業の事例もご紹介!

育成

人事戦略には、採用後の従業員を育成するための仕組みづくりも欠かせません。業務に必要なスキルの習得や向上を目的とし、各従業員の適性や経歴、保有スキルにあわせた育成方法を検討します。研修を行う際には、OJT(On the Job Training)、Off-JT(Off the Job Training)、自己啓発(SD)など、複数の育成手法を組み合わせながら行うとよいでしょう。
【あわせて読みたい】
人材育成の意味や目標とは? 5つのポイントや育成手法を解説

配置

限られた人的資本の中で成果を最大化する上で非常に重要なのが各従業員の配置です。適性や経歴、保有スキル、そして本人の希望にあわせて社内の適切な部署、ポジションへ配置します。各従業員の能力や性格などを分析した上で総合的に判断し、長期的な視点に基づいて行いましょう。

定着

採用・育成した従業員をいかに自社に定着させるかも重要な人事戦略のひとつです。職場環境や福利厚生の整備はもちろんのこと、本人も会社も納得できる適切な人事評価を行い、待遇や処遇へ反映しましょう。従業員が心身ともに健康な状態で、やりがいを持って業務に取り組める環境をつくることで、離職率の低下につながります。
【あわせて読みたい】
社員の定着につながる「健康経営」の取り組み

人事戦略を策定するメリット

人事戦略のイメージ

人事戦略の主な目的は自社の生産性の向上ですが、他にもさまざまなメリットをもたらします。そこで本章では、人事戦略を策定することで得られる2つの大きなメリットについて解説します。

より良い採用戦略につながる

人事戦略が明確であれば、必然的にそれを構成する採用や育成に関する経営戦略も部門内に浸透するので、より良い採用戦略につながります。必要な人材を採用し、社内の適切な場所に配置できるようになるため、離職率の抑制にも役立つでしょう。

採用戦略を重視するのであれば、まずは人事戦略の策定から検討するのがおすすめです。

人事の課題を明確に把握できる

人事戦略を立てる際は、採用・育成・配置・定着に関するさまざまな情報を俯瞰的に見る必要があります。結果的に、人事における課題や将来的に改善が必要になりそうな部分を把握できるようになるでしょう。課題が明確になることで、その課題を解決するための手段を検討するきっかけにもなります。

人事戦略を策定する前に把握すべき3つのこと

v

人事戦略の策定にあたっては、事前に把握しておきたいことがいくつか存在します。本章では効果的に人事戦略を進めるための3つの準備をご紹介します。

企業理念や経営戦略

人事戦略の策定を進めるためには、企業理念や経営戦略の把握が欠かせません。逆にいうと、企業理念や経営戦略を正しく把握できていれば、企業のあるべき姿から逆算して、課題や改善点も特定しやすくなるでしょう。

人事の全体像

人事戦略を策定するにあたっては、人事部門に限らない全社的な人事機能を把握することが必要です。特に育成に関しては、各部署に担当者がいることも多いでしょう。各部署における人事機能を洗い出しておくことで、その後の連携も図りやすくなります。

人事に関わる情報や人事戦略の傾向

人事は社会情勢の変化の影響を受けやすく、関連する法令の改正も多い部門です。時代に合った人事戦略を立てるためには、人事に関わる最新情報を常に把握しておく必要があります。また、他社の成功事例や失敗事例を参考にしながら、人事戦略の傾向を把握しておくことも重要です。

人事戦略に役立つ3つのフレームワーク

人事戦略を立てるために欠かせない現状の把握や分析には、フレームワークの活用が有効です。そこで本章では、人事戦略に役立つフレームワークを3つご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の外部環境と内部環境について、それぞれ「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4項目に分類して分析するフレームワークです。

SWOT分析は主にマーケティングで用いられるフレームワークですが、人事戦略に応用することで、自社の現状を客観的に把握できます。

TOWS分析(クロスSWOT分析)   

TOWS分析(クロスSWOT分析)

TOWS分析(クロスSWOT分析)とは、SWOT分析で抽出した項目を掛け合わせ、「強みの最大化(強み×機会)」「弱点の補強(弱み×機会)」「脅威に対処(強み×脅威)」「リスクの最小化(弱み×脅威)」の4項目に分類して分析するフレームワークです。

SWOT分析は自社の現状分析にしか活用できませんが、TOWS分析は戦略の方向性や妥当性を検討できるため、より具体的な戦略を考える際に効果を発揮します。

ロジックツリー分析

ロジックツリー分析

ロジックツリー分析とは、課題やテーマに対して、その要素をツリー上に分解していき、原因や解決手段を特定するフレームワークです。

漠然とした課題やテーマであっても、要素分解して、それぞれを深く掘り下げていくことで、課題の真因やテーマに向けて取るべき行動が把握しやすくなります。また、課題の全体像を把握し、具体的なアクションの優先順位を決めたい場合にも効果を発揮します。

人事戦略を策定する5つの手順

人事戦略のイメージ

1.経営戦略をもとに人事目標を設定する
2.目標達成に向けた課題の把握と分析を行う
3..人事における採用ペルソナを設定する
4.具体的な人事計画を立てる
5.人事戦略の実施と改善をくり返す

実際に人事戦略を策定する際は、正しい手順に沿って進めていくことが必要です。そこで本章では、人事戦略を進める上での基本の5ステップについて解説します。

経営戦略をもとに人事目標を設定する

まずは、経営戦略をもとに人事目標を設定しましょう。人事戦略の目的は組織全体の生産性を向上させ、経営戦略を実現することです。ズレが発生しないよう、自社の経営戦略を正しく理解・把握した上で、人事目標を設定する必要があります。経営戦略を理解することで、各部署の事業ビジョンも把握できるようになるので、結果として適切な人材配置にも役立つでしょう。

目標達成に向けた課題の把握と分析を行う

人事目標が定まったら、次は目標達成に向けた課題の把握と分析を行いましょう。その際は、前項で紹介したフレームワークを用いると効果的です。また、課題の把握と分析には、情報収集も欠かせません。人員構成や人事機能の現状などの自社に関する情報はもちろんのこと、採用市場の動向や人事トレンドなどの外部情報も人事戦略を立てる際に役立ちます。

人事における採用ペルソナを設定する

続いて、目標達成に向けた採用ペルソナを設定しましょう。具体的には、採用のターゲットとなる応募者の年齢・職歴・学歴・スキル・家族構成などを細かく設定していきます。採用ペルソナを設定することで、採用基準が明確になり、ひいては採用ミスマッチの防止も期待できるでしょう。

具体的な人事計画を立てる

課題の把握と分析、採用ペルソナの設定が完了したら、それらをもとに具体的な人事計画を立てましょう。計画を立てる際は、採用・育成・配置の各要素が一貫性をもって連動しているかを意識することが重要です。また、目標を高く設定しすぎると、従業員のモチベーションを低下させる恐れがあるため、解決方法が現実的か常に検討することも必要でしょう。

人事戦略の実施と改善をくり返す

人事戦略は実行したらそれで終わりではなく、定期的に検証を行い、必要に応じて改善を行うことが重要です。また、人事は社会情勢の変化の影響を受けやすいため、世の中の動きに合わせて、自社の人事戦略を随時見直していくことも求められます。

人事戦略を成功させるポイント

人事戦略のイメージ

人事戦略を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。そこで本章では、人事戦略を成功させるために欠かせない2つのポイントをご紹介します。

人事だけでなく会社全体から理解と共感を得る

人事戦略を実行する上で、経営陣や従業員の協力は必要不可欠です。適所で協力してもらうためには、人事だけでなく会社全体から理解と共感を得ることが重要です。

そのためには、誰もがわかるような簡潔なスローガンをつくって社内で告知したり、全社的な発表の場で人材方針の説明をするなどして、人事から積極的に情報を発信していく必要があります。

人事戦略を実行できる体制を整える

どんなに優れた戦略を立てたとしても、リソースやノウハウが不足していれば、実行は難しいでしょう。よって人事戦略を成功させるためには、人事部門内で戦略を実行できる体制を整えることが重要です。特に人事は、リソースが不足していると目の前の実務に追われてしまい、戦略に関する施策が後手にまわりがちです。

社内でのリソース補充が難しい場合は、社外リソースや人事コンサルタントの活用も検討しましょう。

適切な人事戦略を立てて生産性の向上を図ろう

昨今は採用市場における企業間の競争が激化しており、人事業務においてもより高い戦略性が求められています。人事戦略の策定や実行には工数がかかりますが、長期的に見れば、それに見合うだけのメリットを得られるはずです。人事戦略を実行するためのリソースが社内で不足している場合には、人事コンサルタントの活用も検討してみましょう。

もし、人事戦略の策定や実行を依頼できるコンサルティング会社をお探しであれば、「人材コンサルティング会社&サービスガイド100選」の利用がおすすめです。「人材コンサルティング会社&サービスガイド100選」では、厳選された人材コンサルティング会社とサービスに関する最新情報を発信しています。この機会に活用してみてはいかがでしょうか。

  1. グロービス 鳥潟 幸志 グロービス・デジタル・プラットフォーム マネジング・ディレクター

    “社員が自律的に学ぶ文化を醸成したい”企業の期待に応えられる高品質な動画サービスです

  2. インソース 舟橋 孝之 代表取締役 執行役員社長

    階層別研修、DX推進、HRテックの提供まで、多岐にわたるサービスで人材戦略を総合的に支援します

  3. ディジタルグロースアカデミア 代表取締役社長 高橋 範光

    デジタル人材の育成計画から実行まで支援し、DX推進によるビジネス変革に伴走します

  4. マネジメントサービスセンター 遠山 雅弘 代表取締役社長

    戦略実行のために乗り越えるべき重要課題を特定し、最適なリーダーシップ開発とアセスメントを提供します

  1. マネジメントサービスセンター 遠山 雅弘 代表取締役社長

    戦略実行のために乗り越えるべき重要課題を特定し、最適なリーダーシップ開発とアセスメントを提供します

  2. インソース 舟橋 孝之 代表取締役 執行役員社長

    階層別研修、DX推進、HRテックの提供まで、多岐にわたるサービスで人材戦略を総合的に支援します

  3. インサイトアカデミー 金 珍燮 代表取締役

    海外で収益を生み出すグローバル人材を育てるノウハウと実践的な学習プログラムを提供します

  4. サイコム・ブレインズ 西田 忠康 代表取締役社長

    コンサルタントの知見とテクノロジーを融合し、社員の自律的な学び、組織の成長と業績向上を支援します