採用ブランディング6つのメリットと進め方 成功企業の事例もご紹介!

採用ブランディングのイメージ

本記事では、採用ブランディングに焦点を当てて、採用ブランディングの概要や必要とされている背景、メリットや実際の進め方などについて解説します。あわせて採用ブランディングの成功事例や、取り組む上でのポイントもご紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。

採用ブランディングとは

採用活動において、自社の魅力を認知してもらうブランド化をするための取り組みを指します。自社の魅力を認知してもらうことで、求職者に「この企業で働いてみたい」と思わせ、応募者増加などの成果につながります。

具体的な取り組みとしては、自社が持つ魅力や価値を整理した上で、さまざまなメディアやチャネルを通じて一貫した情報を発信し、幅広い求職者に対して戦略的に自社のブランドイメージを浸透させるなどの一連の活動が挙げられます。

近年は深刻な人材不足ということもあり、採用ブランディングに注目している企業は増加傾向にあります。

採用ブランディングの目的

採用ブランディングの最大の目的は、自社にマッチする人材を採用することです。採用ブランディングにより自社のブランド力を高められれば、「この企業に入社したい」という応募者の増加につながります。

さらに、採用ブランディングを通じて自社の価値観を世間一般に浸透させられれば、そこに共感する応募者が集まりやすくなるでしょう。結果的に母集団となる応募者の質が高まり、採用する人材の質向上にも貢献するはずです。

また、ブランディングを進めるにあたり、採用コンセプトを改めて見直すことになるため、自社にとって不要な施策をカットするきっかけとなり、より効率的な採用フローの構築も期待できます。

採用ブランディングが必要な背景

株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年10月)」)
(出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年10月)」)

採用ブランディングが必要とされる背景には、少子高齢化による人材不足という課題があります。少子高齢化が加速している日本では、採用市場における競争も年々激しさを増しており、優秀な人材の確保はどの企業にとっても急務です。

また、近年はSNSの普及により、各企業が求職者に対して、直に情報を発信できるようになりました。同時に、求職者側が比較・検討する情報量も多くなっていることから、採用戦略の新たな切り口として、採用ブランディングに注目が集まっています。

採用ブランディングの6つのメリット

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・認知度の向上
・応募者数の増加と質の向上
・競合との差別化
・定着率の向上
・採用コストの削減
・社員のモチベーション向上

採用ブランディングの大きな狙いは自社にマッチする人材を採用することですが、他にもさまざまなメリットがあります。そこで本章では、採用ブランディングに取り組むことで得られる6つのメリットを解説します。

認知度の向上

採用活動において、自社の認知度は重要です。十分に認知されていなければ、求人を出しても思うように応募者は集まらないでしょう。その点、採用ブランディングを行えば、自社の情報や魅力を伝える機会が増えるため、認知度の向上につながります。特に、現時点で認知度がそれほど高くない中小企業やスタートアップ企業においては、大きな効果が期待できるでしょう。

競合との差別化

企業が生き残っていくために、競合他社との差別化は欠かせませんが、それは採用活動においても同様です。採用ブランディングによって、他社にはない自社の魅力を訴求できれば、自ずと他社との差別化が可能になります。競合とは異なる、自社ならではの特徴に合う人材であれば、入社後の人材の流出防止にもつながるでしょう。

応募者数の増加と質の向上

採用ブランディングによって自社の認知度が向上すると、応募者数の増加につながります。特に、今までであれば応募してこなかったであろう、優秀な人材との出会いも期待できるでしょう。さらに、自社のブランドイメージが浸透すれば、社風や求める人物像にマッチする応募者が集まりやすくなるので、母集団の質の向上も期待できます。

定着率の向上

採用ブランディングではターゲットを定めた採用活動ができるため、入社後のミスマッチ防止に役立ちます。また、自社のブランドイメージが社内外に浸透すれば、既存社員のロイヤルティも高まり、結果的に定着率の向上につながるでしょう。

採用コストの削減

採用ブランディングを通して採用コンセプトが明確になると、自社にマッチするターゲットに絞った採用活動が可能となります。ターゲットを絞ることで、内定辞退や早期離職が減少すれば、長期的に見て採用コストの削減につながるはずです。

また、採用コンセプトが全社に浸透すれば、リファラル採用(自社の社員から知人などを紹介してもらう手法)の増加も期待でき、採用コストをさらに削減できるでしょう。

社員のモチベーション向上

採用ブランディングによって、自社が世間一般から魅力的な企業と認知されることは、既存社員のモチベーション向上にもつながります。また、優秀な人材が入社してくることにより社内が活性化し、社員間のシナジー効果によって、全社的な生産性の向上にも期待できるでしょう。

採用ブランディングの進め方5つのステップ

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1.採用市場におけるポジショニングの理解
2.求める人物像を明確化する
3.媒体の選定
4.運用の開始
5.検証と改善

採用ブランディングに取り組むことにはさまざまなメリットがありますが、正しいステップに沿って進めていかなければ、十分な効果を得ることは難しいでしょう。そこで本章では、採用ブランディングの進め方について解説します。具体的には、以下の5つのステップです。

1.採用市場におけるポジショニングの理解

まずは自社の分析を行い、採用市場で自社がどのような立ち位置にあるのかを把握しましょう。具体的には、採用市場の現況やトレンド、ターゲットとなる人材のニーズなどをもとに分析します。競合他社との比較も有効です。

採用市場における自社のポジショニングを理解することによって、自社の強みや課題が明確になるでしょう。

2.求める人物像を明確化する

続いて、自社が求める人物像を明確化しましょう。その際に役立つのが、「ペルソナ設定」です。ペルソナ設定では、ターゲットとなる応募者の年齢・職歴・学歴・スキル・ライフスタイルなどを具体的に決めます。これにより、自社が求める人物像がより明確になるので、どのような媒体でどのような情報を求めているのかなどのニーズを想像しやすくなります。

また、ターゲットが明確化することで、ミスマッチによる内定辞退や早期離職を防止できるでしょう。

3.媒体の選定

採用コンセプトが確定したら、ペルソナ設定をもとに実際に情報を発信する媒体の選定を行います。いくら熱心に情報を発信したとしても、ターゲットに届かなければ意味がありません。ペルソナ設定によって輪郭がはっきりとした人物像をもとに、どの媒体を通じて情報を発信していくのが効果的なのか分析しましょう。なお、採用ブランディングに有効な媒体としては、採用ブログ・動画・SNS・イベントなどが挙げられます。

4.運用の開始

媒体の選定まで完了したら、いよいよ実際に運用を開始します。開始後に運用が滞らないよう、各媒体の担当者を決めておくことが大切です。また、複数の媒体で情報を発信する場合、コンセプトにズレが生じないよう、事前に担当者間で認識を共有しておきましょう。

5.検証と改善

運用開始後は、定期的な効果検証と結果に応じた改善が必要です。具体的には、採用結果を分析し、PDCAを回しながら更新とブラッシュアップを行っていきましょう。採用ブランディングは長期的な効果を想定した取り組みなので、定期的な検証と改善で徐々にブラッシュアップしていくことが大切です。

採用ブランディングに最適なメディア・チャネルとは?

採用ブログ
採用動画
SNS
イベント

本章では、採用ブランディングに最適なメディア・チャネルを4つご紹介します。それぞれの特徴を理解した上で、自社の状況や求める人材像に合わせて、適切な媒体を選択しましょう。

採用ブログ

ブログはコンテンツの自由度が比較的高く、また情報が埋もれてしまいがちなSNSと違って、投稿した内容を蓄積できる点がメリットです。ただし、ブログの運営にはある程度の知識やスキル、そして継続的に更新するための工数が必要です。自社のリソースだけでの運用が難しい場合は、外注も検討しましょう。

採用動画

視覚と聴覚に訴えかける動画は、文章や画像のみの求人媒体よりも求職者の記憶に残りやすいという特徴があります。また、ブログやSNSとも組み合わせやすい点もメリットでしょう。ただし、動画の制作にはコストや時間を要するため、継続的かつ定期的な情報発信にはやや不向きといえます。

SNS

Twitter・Instagram・FacebookなどのSNSも採用ブランディングに最適な媒体です。SNSはリアルタイムの情報やリアルな魅力を発信しやすい上に、低コストで運用できる点が大きなメリットでしょう。また、拡散力があるため、就活や転職に興味のない人にもアプローチできます。ただし、SNSは競合が多く、情報が埋もれやすいため、継続的かつこまめな更新が必須です。

イベント

採用ブランディングにおけるイベントとは、セミナーや会社説明会などを指します。イベントは求職者と直接、顔を合わせて会話できるため、企業のリアルな魅力を伝えやすく、求職者に対して強い印象を残せる点がメリットです。ただし、イベントの開催には時間や労力、人員を要するため、計画的に進める必要があります。

採用ブランディングの成功事例

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本章では、実際に採用ブランディングを行って成功した事例を3つご紹介します。自社の採用ブランディングを行う際の参考にぜひご覧ください。

成功事例1.ヤフー株式会社

ヤフーは事業内容や環境の変化が激しい業務特性上、変化に対して前向きかつ柔軟に対応できる人材を確保したいと考えていました。そこで同社は、幅広い経歴をもった人材を集めるため、複数のチャネルを活用したり、新卒一括採用を廃止し、ポテンシャル採用をデフォルトとするなどの施策を実施。その結果、優秀な人材の確保と定着率の向上に成功し、5.5%というIT業界の中でもトップクラスの低離職率を維持しています。

成功事例2.全研本社株式会社

Webメディアの制作や運営を手掛ける全研本社は、Webディレクターの慢性的な不足という課題を抱えていました。そこで同社は、Webディレクターになるためのノウハウを発信する独自の採用メディア「ディレタマ」を開設。メディアを通じて自社の潜在的な採用ターゲットとなる人材との接点を増やすことで、安定的な内定者の獲得に成功しています。

成功事例3.サイボウズ株式会社

離職率が高いという課題を抱えていたサイボウズは、働きやすい企業というイメージを定着させるべく、採用ブランディングを活用しました。具体的には、副業解禁や子連れ出社をはじめとした多様な働き方を解禁。同時に社外に向けて自社の働き方に関する情報を積極的に発信していきました。その結果、同社の離職率は28%から4%にまで改善されています。

採用ブランディングのポイント

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採用ブランディングを進める際は、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。そこで本章では、採用ブランディングを効果的に進めるための2つの必須ポイントをご紹介します。

長期的に取り組む

企業の認知度の向上やブランドイメージを浸透させるには、どうしても時間を要するため、長期的に取り組む姿勢が重要です。採用ブランディングの効果が出るまでには、最低でも2~3年程度の期間を要すると考えておきましょう。すぐに結果が出ないからといってブランディング施策をやめてしまうのではなく、長期的な視点で、継続的に分析と改善を繰り返していくことが求められます。

人事だけでなく全社的に取り組む

採用ブランディングを成功させるためには、採用に関わる人間だけでなく、経営層や他部署も含めた全社的な取り組みが必要です。発信する内容と現場の状況に相違ないよう、現場のヒアリングをしながら採用コンセプトを定めることで、ブランド力は向上していきます。

まずは採用ブランディングによって自社の魅力を高められる旨を説明し、経営層や他部署の理解を求めることが重要でしょう。

採用ブランディングのQ&A

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Q.採用ブランディングにデメリットはありますか?

費用がかかる点、結果が出るまでに時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。また経営層や他部署からの理解と協力を得なければならなかったり、継続的な情報発信が求められたりすることを考えると、工数がかかる点もデメリットとして挙げられます。

逆に上記を認識したうえで継続的に取り組むことが採用ブランディングをうまく進めるためのポイントです。

Q.採用ブランディングと採用広報の違いは何ですか?

情報発信のターゲット層です。採用広報では自社がターゲットとする求職者のみに対して情報を発信するのに対し、採用ブランディングではターゲットかどうかにかかわらず幅広い求職者に情報発信を行います。

採用ブランディングを効果的に実施するために

採用ブランディングは時間や労力を要するものの、それに見合うだけの採用効果が見込めます。また、ブランディングにより自社のブランド力を高めることは、ビジネス面にも大きなメリットをもたらすでしょう。応募者の母数が増えない、自社にマッチした人材を採用できない、離職率が高いなどの理由で採用活動に苦戦しているのであれば、積極的にブランディングに取り組み、自社の魅力を発信していくことをおすすめします。

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  1. 経営者JP 井上 和幸 代表取締役社長・CEO

    質×スピードにコミットするエグゼクティブ採用を通じて、経営課題・事業課題を解決します

  2. キャリア インキュベーション 荒井 裕之 代表取締役社長

    サーチファンド・ジャパンの2号ファンドも設立。エグゼクティブサーチや優秀な人材の紹介でCxO人材市場の拡大に貢献します

  1. ウィンスリー 黒瀬雄一郎 代表取締役 ヘッドハンター

    デジタル&マーケティング人材支援の圧倒的No.1へ。年間3000人以上の優秀な候補者をプール。面談数をコミットした支援や業務委託も行います

  2. thrill クリスチャンセン 洋助 代表取締役CEO

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